この記事のこの場所に「この記事には広告が含まれます」という一文が目立つように書いてあります(ここはそういうところですよ?)
《以上広告アナウンスでした。以下本文》
2021年6月22日(火)に原告側に届き、報道された、「赤木ファイル」。
その全文(財務省がようやく裁判所の指示で黒塗りの上に提出したもの)は、一般の人間にはすぐに確認することができなかったが、その二日後に行われた、「国対ヒアリング」の流れで、「石垣のりこ後援会」さんがDropboxでアップしてくれていて、ネットで閲覧することができた。
【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
立憲民主党ホームページ、”同”、2021年6月23日。【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – 立憲民主党 (cdp-japan.jp)(参照2021-06-25)
NORIKOROCK石垣のりこ後援会さんはTwitterを使っています 「https://t.co/yEIeBscGPz https://t.co/lj9i9vDbEu」 / Twitter
https://twitter.com/norikorock2019/status/1407939547153846284(参照2021-06-25)
これらの公開された資料を参考にし、これまでの情報を踏まえた上で、「赤木ファイル」の内容について、気になった点を述べ、考察をしたい。
[公開:2021/08/08]
当記事の内容は、
【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
については、同上からのYouTubeリンク:2021年6月24日 通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – YouTubeを、
赤木ファイル
については、同上からダウンロードしたファイル「本省の対応(調書等修正指示).pdf」を
参照しています。
なお、「石垣のりこ後援会」さんによるスキャン版である「本省の対応(調書等修正指示).pdf」については、白紙のページが1ページ抜けているとの報告があること(未確認)や、一部、スキャン時のズレで下隅のページ数が見えなくなっているところがあるようなので、引用する際は、PDFページではなく、原稿下隅にある(と思われる)ページ数で引用元を示すこととします。
「赤木ファイル」は誰のものか?
内容に踏み込む前に、「赤木ファイル」の所有権について考えてみたい。
「赤木ファイル」はいったい、誰のものなのか?
財務省は、これまで、「赤木さん個人が所有していたもの」と答えてきた。そのように説明すれば、「だから文書は見つからずに、提出要求に応じることができなかった」と言い訳できると(姑息に)考えているのだろう。
しかし本当に、「個人が所有していた」のであれば、私物であり、当人(あるいは遺族)に確認しなければならない。勝手に処分することは許されないし、ましてや、勝手に黒塗りすることは器物損壊に当たる可能性がある。
しかも、財務省は、これまで長期にわたり、国会や遺族の要求に対し、その存在を含めて回答をしなかった。言ってみれば、財務省は「赤木ファイル」についての所有権を主張してこなかった。
これでは、財務省自身が、「赤木ファイル」の所有権を放棄していた、と受け取られても仕方がないだろう。
理屈としてはこうなるが、「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)では、「行政文書」とは、「行政機関の職員が職務上作成し、または作成した文書」「であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」と定義している。[公文書等の管理に関する法律。「第一章 総則 第二条 4」。]
「公文書等の管理に関する法律」については、
電子政府の総合窓口e-Gov、”公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)”、施行日: 平成二十九年四月一日。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=421AC0000000066(参照2021-06-29)
公文書管理法では、公文書について、
(前略)公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである(後略)
同上。「第一章 総則 (目的) 第一条」(抜粋)。(参照2021-06-29)
と定義し、行政機関の職員に対して、
(前略)当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
同上。「第二章 行政文書の管理 第一節 文書の作成 第四条」(抜粋)。(参照2021-06-29)
と義務付けている。
「赤木ファイル」は、公文書管理法から見ても、
赤木氏の視点で、(改ざんという違法行為だとは言え)「経緯を含めた意思決定に至る過程」を、「合理的に跡付け、又は検証することができるよう」にまとめられたもの
であり、
民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源
である。
「赤木ファイル」とはいったい誰のものなのか?
この問いの答えは、
(赤木さんとその遺族も含めた)国民のもの
だ。それを公開せずに独占することは、財務省による私物化でしかない。
補足)
「赤木ファイル」は、原告側から関係者やマスメディアに提供され、内容について報道されたようだが、全文の公開が、マスメディア等のホームページで確認できなかった(個人的な確認)のは、以上のような、所有権の曖昧さがあったが故である可能性がある。この点に関する考察については、前回記事を参照。
予想していてた内容と実際の結果の答え合わせ
「赤木ファイル」の内容について、公開される以前、私はいくつかの予想をしていた。
「森友問題」「赤木ファイル」に何が書かれているかの考察(2021/05/14)
当ブログ記事、”同”、2021年5月14日公開。https://webstarterzy.t-hajime.com/kanadehonmoritomo-akagifile-written-20210514/(参照2021-07-14)
まずは、その予想が当たっていたのか外れていたのかについて、確認しておきたい。
改ざんを開始した時期の特定はできたのか
財務省による「改ざん報告書」では、改ざんを開始した時期(近畿財務局が一連の改ざんに取り掛かった時期)を曖昧にしている。
森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書(平成30年6月4日)(PDF:9269KB)
財務省ホームページ、 広報・報道 > 大臣談話・ステートメント > 大臣談話・スピーチ、決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について、”同”。https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180604chousahoukoku.pdf(参照2021-07-14)
今回公開された「赤木ファイル」には、冒頭に、一連の経緯を説明し、改ざんした内容について、分かりやすいように表でまとめている。その表では、最初の日付が、「29年2月26日(日)」となっている。
財務省の改ざん報告書では、この2月26日からの改ざんは、上で示した近畿財務局で改ざんをスタートさせた件とは別件であることになっている。
これを見る限り、赤木ファイルでは、この件を明らかにできなかったようだ。
しかし、疑問は残る。この期間のことを、赤木氏は記録に残していなかったのだろうか。
赤木ファイルの冒頭の表では、平成29年2月26日を始まりとしているが、プリントアウトされたメールのやり取りで、一番最初のものは、2017年2月16日深夜のものになっている。[赤木ファイル、p517-518]
内容は、本省理財局内でのやり取りメール(黒塗り同士)を、本省理財局の職員(黒塗り)から近畿財務局にそのまま転送した形で、赤木氏は、四人いる(黒塗り含む)宛先の一人となっている。その後、日付が変わって2月17日未明の内に、近畿財務局側(黒塗り)から、財務省理財局側(黒塗り)からのそのメールでの依頼にこたえるデータを添付した返信メールが3通あり、その3通が赤木氏にもCC(カーボンコピー)で共有されている。
ところが、その次のメールは、「2月26日(日)15:48」[赤木ファイル、p503]の表記で、十日近くの空白がある。
この2/17~26にかけての期間こそ、改ざんの意思決定、改ざんの命令系統を明らかにするうえで重要であるのに、赤木ファイルでは空白になっている。
残念ながら、私が注目していた点、「財務省が改ざんに取り掛かった時期の特定」については、
「赤木ファイル」をもってしても、財務省(近畿財務局)が改ざんをスタートさせた時期を特定することができず、謎のまま残った。
この件は、赤木氏以外の当事者の証言によって明らかにするしかないだろう。
(もっとも、これは、生存している当事者が答えてくれれば、すぐに解消する程度の謎なのだが、なぜか財務省は当事者への取材を拒否し、改ざん報告書以上のことをかたくなに答えようとはしていない。)
局長(当時)が改ざんを認識した時期は特定できたのか
財務省の改ざん報告書では、佐川局長(当時)が改ざんを認識した時期を特定していない。
報告書では、佐川氏は当初改ざんを認識していなかったことにしている(そしてそのことが考慮されたように犯した罪の重さに対しての処分が軽くなっている)。「改ざんを当初認識していなかった」ことが事実なのであれば、当然、「その後、改ざんを認識した時期はいつなのか」という疑問に答える必要があるのに、報告書では十分な確認をしていない。
報告書では、「遅くともこの時点(引用者注:3月20日)までには、理財局長も、決裁文書の書き換えを行っていることを認識していたものと認められる」[同上、p28、PDFページ31]としているだけで、本当に本人に聴取したのかを疑ってしまうような書き方だ。
認識した時期を特定できないということは、その設定(当初改ざんを認識していなかったこと)自体が誤りである疑いが出てくる。これでは財務省は真実を明らかにする意思が全くないと言われても仕方がない。改ざんの指揮命令系統を明らかにするうえでも、何の役にも立たない。(もっとも、佐川氏は証人喚問でもこの質問には「訴追の恐れ」を理由にして答えていないが。)
だからと言って、今回の赤木ファイルで、佐川氏の意向が明らかになることを期待するのは、もともと無理筋だった。
そもそも赤木氏は、近畿財務局の職員であり、佐川氏からの指示は、本省理財局の役人と近畿財務局の役人を何重にも通したものになり、佐川氏の意向を直接知る立場にはない。
実際、赤木ファイルの冒頭の記述では、「本省で、議員からの資料要求に対する佐川理財局長への説明過程や、同局長からの指示等の詳細が当局に還元(説明なし)されず、詳細が不明確なまま、本省審理室(担当補佐)からその都度メールで投げ込まれてくるのが実態。」[赤木ファイル、p1]と、佐川局長の意向等が不明確なことについて、不信感が見て取れる。
赤木ファイルで、佐川局長の指示や意向が(間接的に)読み取れる場所は、3/20のことで、
・冒頭の表、2017/03/20、指示等内容「売払決議書(売払調書)は佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新らしい情報を与えることがないよう)があったとのこと」[赤木ファイル、p1。原文ママ]
・メール、2017年3月20日月曜日 22:49。差出人(審理室《黒塗り》)→宛先(赤木氏を含めた6人(近財))、件名:取得要望書について「なお、本日、売払決議につきまして、局長説明を行いましたが、局長からの指示により、調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示がありましたので、改めて、調書を修正後、局長説明を行う予定です。」[同、P165。改行は省略]
と書かれてある。3/20と言う日付は、財務省改ざん報告書での、「遅くともこの時点までには」という時期と一致している。
逆に言えば、近畿財務局の赤木氏にメールで「局長からの指示」と伝わる状況証拠が残っている時点で、ようやく、財務省の改ざん報告書では、「遅くともこの時点までには」佐川氏が改ざんを認識していた、と、ようやく認定したことになる。これでは「遅くとも」という判断は「遅すぎる」としか言いようがない。関係者に本当に話を聞いたのか、あるいは話した証言を隠蔽しているのか、疑わしい内容だ。
結局のところ、
「赤木ファイル」をもってしても、佐川局長(当時)が改ざんを認識した時期を特定することができず、謎のまま残った。
本気で調査する気があるのなら、佐川氏に確認すればいいだけの話で、それを裏付けるには、その意向を聞いた人間に確認すればいい。少なくとも、赤木氏らにメールを送った本省の職員は「直接指示がありました」と語っているので、確認する必要があるだろう。(もっとも、財務省はこの期に及んで、その職員の名前を黒塗りにしているが。)
「赤木ファイル」が対象とした範囲はどうだったのか
赤木ファイルが対象とする期間について、私は以前、財務省改ざん報告書から読み取れる内容を見て、赤木氏が休日に呼び出された2月26日から、改ざんに強く抵抗を示した3月8日までの期間に、(意図的に)限定されてしまう可能性を危惧していた。[当ブログ記事”「森友問題」「赤木ファイル」に何が書かれているかの考察(2021/05/14)”]
実際には、冒頭の表には、平成29年(2017年)2月26日から4月13日までの内容をまとめられていた。内容も、最初のメールは2月16日深夜から始まり、2/17未明のメールがあってあとは、空白があって、2月26日から再びメール受信が始まり、最終的には、4月17日のメール受信で終わっていた。
赤木ファイル(全文と称するもの)の範囲は、期間としては、2月16日深夜受信メールから、4月17日受信メールまであった(プラス、作成時期は不明だが、それを踏まえて作成されたと思われる冒頭の備忘記録と表)。
私の当初からの危惧は、外れていたことになる。(内容的には疑問点が残るが)。
財務省は、改ざん発覚後の調査に、赤木ファイルを参考にしたのか
財務省は、これまでファイルの存否も含めて回答を拒否していたため、改ざんの調査において、赤木ファイルを参考にしたのかどうかすら答えず、謎のままだった。
ただ、赤木ファイルが公開されると、赤木ファイルを確認するまでもなく、財務省の役人が、国対ヒアリング(2021年6月24日)で、ファイル(の内容)を見ていたことを認めた。
国対ヒアリングでは、小西議員による質問、平成30年の財務省の調査報告書の段階で、赤木ファイルは調査に使ってなかったのか、に対し、財務省の役人が、
ドッジファイルに綴じられた形のものというのは見てなかったのですが、中に綴じられていた文書はすべて把握していた
【国対ヒアリング】6月24日(木) 14:00~通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング
、2021年6月24日 通算第56回「森友問題再検証チーム」ヒアリング – YouTube、25:54ごろ~。引用者による書き起こし。
と答えていた。
「ファイルは見ていないが、ファイルの中身は見ていた」という、意思疎通をするつもりが一切ない、犯行の自白に近い言い訳、という感想しかない。
いずれにせよ、財務省は、改ざんの調査に当たり、赤木ファイル(の中身)を参照していたことが、初めて明らかになった。
改ざん対照表での「差替前」との書き込み原本の謎
財務省が赤木ファイルを参考にしていたことは分かったのだが、その一方で、念のための確認をしたい点が残っていた。
財務省は改ざんを認める(2018年3月12日)と同時に、改ざん前後の対照表『決裁文書の書き換え状況』[財務省、”同”、平成30年3月12日。201803B.pdf (mof.go.jp)]を発表しているが、その中で、改ざん前のページで、「差替前」と手書きで書かれた文書を掲載している。[同、p20、PDFページ21]
当たり前だが、真の原本に、もともと「差替前」と書かれている訳がない。「差替前」と書くのは、改ざんを意図しない限りあり得ない。さらに言うと、当時は、まだ、大阪地検による捜査中であり、財務省は原本は手元にはないという言い訳をしていたが、大阪地検に「差替前」と書いた原本を提出するはずもない。
それなのに、財務省は、改ざんを認めて改ざん前後の対照表を出す際に、そのページだけ「差替前」と書き込みのある「原本」を掲載していた。このことはずっと気にかかっていた。
そして今回、赤木ファイルが公開されたことにより、赤木ファイルの中に該当するページが存在するのか、そしてそれには書き込みがあるのかどうかを、ようやく確認することができた。
結論を言うと、そのページには、書き込みはなかった。[赤木ファイル、p506]
「決裁文書の書き換え状況」[同上、p20、PDFページ21]と「赤木ファイル」[同上、p506]のそれぞれのスクリーンショットの一部を切り抜いて並べた上で、引用者により説明を加えた図。縮率を一部変えています。(作成2021-08-06)
赤木ファイルに綴じられているのは、2017年2月17日未明に、近畿財務局から本省審理室に送ったメールが赤木氏にもCCで共有され、その添付データをプリントアウトしたと思われるもの。対照表での文書と見比べてみると、赤木ファイルのものは「差替前」との書き込みがなく、また、文章を1行ごとにチェックしたと思われる印(手書き)が一致しているので、両者は、共通の原本からのコピーである(もしくはどちらかが原本で片方がコピーの)関係であることが分かる。
該当の文書を含んだメールは審理室内で複数の職員にCCで共有されている。そして財務省は、赤木ファイルの内容を把握していたと言いながら、財務省は改ざんの対照表を出す時に、該当部分のページで、あえて、「差替前」と書き込みがあるページを改ざん前の「原本」として出したことになる。「差替前」との書き込みのないデータが存在していたのにもかかわらず。
もちろん、「画像が汚くて見にくいからきれいな画像にした」という言い訳も可能だろう。
だが、時系列を考えたとき、改ざんの疑いが報じられ、財務省がすぐには改ざんを認めない中で、職員(赤木氏)の自殺報道がされ、ようやく週明けに財務省は改ざんを認めると同時に、この完成された対照表を提出した。返す返すも悔やまれるのは、財務省がすぐに改ざんを認めていれば、赤木氏は死なずにすんでいた可能性が高い、ということだ。こんな対照表を完成させる余裕があれば、すぐにでも改ざんを組織で行っていたと認めておくべきだった。この時にすら、何らかを隠そうとしたのではないかという疑問は、これまでの経緯からしても、当然、残る。
少なくとも、財務省には、「差替前」書き込みアリ原本、赤木ファイル原本、大阪地検提出原本の三パターンが存在すると見ていいだろう。
そして、財務省が改ざん公表時に、このページだけ、「差替前」と書き込み済みの「原本」を出した不自然さは、解消されずに残ったままである。
補足)
「決裁文書の書き換え状況」については、読んだ時、これとは別に疑問点があった。後半の方ほど、句読点の打ち間違えなどの単純ミスが目立ったことだ[当ブログ記事”「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/12)”参照]。すべて確認した訳ではないが、後半部分は、本省理財局の職員や本省から出向してきた近畿財務局の職員が中心に作業をしていたと考えられるので、本省の職員が雑な仕事をしていたことになる。改ざん作業が「仕事」であるわけもなく、雑になってしまうのも当然だが、真面目に仕事をしてしまった人が罪の意識に追いやられて自死を選んでしまった状況を考えると、憤りしかない。
赤木ファイルで明らかになったこと
赤木氏は、地方局の一員であり、途中からこの件の担当になっていた。本省で起こったことや、前任者の時に起こったことを、すべて把握しているわけではないので、限界はある。(黒塗りとは言え)赤木ファイルが公開されたからと言って、広範な問題を含む森友事件の全容が明らかになるはずはない。
ただ、状況証拠として、この問題で残っている謎を解明する手がかりになってくれる。
佐川氏指示メールの存在
2018年3月2日に、朝日新聞により、財務省が改ざんしている疑いが報道されて以降は、ほぼ、朝日新聞の独擅場ともいえる状況だったが、マスコミ各社も、独自の情報を報じていた。
朝日新聞以外では、NHKや毎日新聞が独自ニュースを報道していた記憶があるが、個人的に意外だったのは、日テレNEWS24が、いくつもの独自ニュースを連発していたことだ。
当ブログでも、それらのニュースに触発されて
「森友問題」日テレNEWS24の独自スクープの現時点での考察(2018/03/29)
「森友問題」日テレNEWS24の「口裏合わせ」報道の考察(2018/04/07)
「森友問題」日テレNEWS24の「500ページ以上の交渉記録」スクープのまとめと考察(2018/05/09)
と、いくつか考察の対象となって取り上げている。[当ブログ記事]
その中で、2018年3月29日に報じられた、
日テレNEWS24、”独自:“改ざん”佐川氏指示窺わせるメール”、2018年3月29日 11:38。
独自:“改ざん”佐川氏指示窺わせるメール|日テレNEWS24(参照2021-08-06)
は、日テレNEWS24での独自ニュースだった。
その後も、佐川氏が指示したかどうかという点については、報道でも、各社、ブレがあった。[当ブログ記事”「森友問題」佐川氏の了承が「事前なのか事後なのか」で報道が分かれたことの考察(2018/04/25)”参照]。どれが正解なのか分からない状況だった。
結局、佐川氏が指示したかどうかについては、証人喚問でも、財務省の改ざん報告書でも、曖昧なままにされ、明らかにはならなかった。財務省の報告書では、佐川氏は、「方向性を決定づけた」ということで処分され、具体的な指示を出したことは言及されていなかった。
そして、報じられた「佐川氏指示窺わせるメール」についても、財務省の改ざん報告書には具体的に記載されておらず、同時期に公表された応接録等にも含まれていなかった。
疑問はずっと解消されないままだったが、今回、赤木ファイルに、「局長からの指示」という文面があるメールが存在した。2017年3月20日付深夜に、審理室の(黒塗り)から、近畿財務局の赤木氏を含む職員6人に贈られたメールで、CCで本省と思われる職員6人に共有されている。[赤木ファイル、p165]。
これは、2018年3月29日に日テレNEWS24で報じられた「佐川氏指示窺わせるメール」に当てはまるものだった。
3年以上前に報道されただけで、その後ずっと不明だった「佐川氏指示メール」だが、存在することがようやく明らかになった。
逆に言えば、財務省は、改ざんを認めた上でなお、自殺した職員の遺族に損害賠償を請求されて裁判所に指揮されるまで、この資料を3年以上も隠し続けていたことになる。
配下職員の改ざんへの抵抗の様子
財務省の調査報告書では、配下職員の改ざんへの抵抗について、やや、分かりにくい記述が続いている。
配下職員が改ざん作業に対して反発した日付については、
(前略)「平成29年3月8日(水)までに管財部長に相談した」[財務省改ざん報告書、p27、PDFページ30]
と、「までに」という表現で、幅を持った表現をしている(日付を特定していない)。
さらに、その相談の結論として、
(前略)「配下職員はこれ以上作業に関与させないこととしつつ、本省理財局が国会対応の観点から作業を行うならば、一定の協力は行うものと整理された」[同、p27-28、PDFページ30-31]
としつつも、その後、平成29年3月20日に議論が行われたその時期に、
(前略)「配下職員による本省理財局への反発がさらに強まっていたため」[同、p28、PDFページ31]
と、記述されている。
「作業に関与させない」と整理したのにもかかわらず、その後に、「反発がさらに強まった」、という矛盾した内容だ。
これは、事実上、配下職員に対して「これ以上作業に関与させない」と言いながら、その後も作業を強いていたことが読み取れる。
報告書でのこれらの分かりにくい記述に対し、赤木ファイルでは、冒頭の文章で、
(前略)「3月7日午前、速やかに部長に報告。」[赤木ファイル、p1]
と備忘記録を残しており、日付を明記している。
さらに、3月8日付メールは、赤木氏が送り主で、本件対応について部長に報告したことと、さらに、(審理室)「室長から、部長に電話連絡があったと聞いております」という内容を、(黒塗り)補佐を送り先にし、さらにCCで関係者にも届けている。[赤木ファイル、p223]
その後も、日付が変わって3月9日未明付の本省からのメールが赤木氏にCCで届いているが[赤木ファイル、p167]、その後は、間が空いていて、次に届いたのが、3/20のメール、例の「局長からの指示」の文面があるメールだった。[赤木ファイル、p165]
つまり、本省理財局側は、3/8の時点で「これ以上作業に関与させない」と結論付け、しばらくメールを送らなかったのにもかかわらず、3/20になって「局長からの指示」のメールを送って、作業を強いたことがことが読み取れる。
財務省報告書は、この3/20の「局長からの指示」メールを記載していない。
そのため、3/8にこれ以上「関与させない」と結論付けているのに、突然、3/20に「反発がさらに強まっていた」と出てきて、不自然だった。その間に、「局長からの指示」メールがあったのなら、話はつながる。
赤木ファイルからは、
配下職員が、管財部長に相談した日付を「3月7日」と特定でき、反発がさらに強まった理由を「局長からの指示」メールであったことが明らかになった。
しかし、報告書では、これらのことを特定もしていなけば、言及もしていない。
財務省が、赤木ファイル(の中身)を見たうえで、この報告書を書いたのだとすれば、文書作成能力に欠けているか、隠ぺいする意思を持っていたか、あるいはそのどちらでもあったと言えるだろう。
「現場として厚遇した事実もない」という事実
赤木ファイルの冒頭の備忘記録には、
「現場として厚遇した事実もない」[赤木ファイル、p1]
とある。
この一文をもって、「厚遇は無かった」と恥ずかしげもなく主張する人がいるようだが、いろいろなものが足りていないのだろう。
「現場として厚遇した事実もない」ことは、「厚遇した事実がない」こととイコールではない。
そして、「現場として厚遇した事実もない」のに、「厚遇した事実がある」場合は、
「現場ではない所が厚遇した事実がある」
との結論になる。
赤木氏は、途中からこの件の担当になった配下職員であり、広範な森友問題のすべてをカバーしていたわけではない。直接参加した現場以外で、厚遇があった事実を知る由もない。
言ってみれば、
赤木氏は(自分が)厚遇した事実がないからこそ改ざんに抵抗し、
本省職員は(自分たちが)厚遇した事実があるからこそ改ざんを命じた
という「事実」があるに過ぎない。
その一端がうかがえるのは、赤木ファイルでの冒頭の備忘記録での表のNo.10の項目だ。[赤木ファイル、p2]
その指示等内容の欄には、
検査院受験日の初日の朝、急きょ本省(《引用者注:黒塗り》補佐)から指示を受けた次長から「経緯」の一部(28.3.11)を削除(理由等は不明)
赤木ファイル、同。p2。
とある。
本省からの指示で、慌てて「経緯」の一部を削除した様子がうかがえ、赤木氏は、それに対して「理由等は不明」と、ある意味、正直に述べている。
この、「28.3.11」の日付については、この問題を追ってきている者であれば、籠池氏が「新たなゴミが出てきた」と国側に連絡をした日であることが、すぐに分かる。いわゆる、「ごみストーリー」の展開日だ。(「ごみストーリー」については、正直、私も、過去、ミスリードされてきた面は否めない。私自身の見解も二転三転してしまっているが、現時点での最新の考察は、当ブログ記事”「森友問題」8億円値引きごみストーリーにおける国土交通省の関与についての現時点でのまとめと考察(2020/04/08)”参照)
ここでの、本省が慌てて経緯の一部を削除した点と、赤木氏が「理由等は不明」とした点は、
・本省は「ごみストーリー」を把握し、問題だと思っていた
・赤木氏は「ごみストーリー」について把握していなかった
ことの証拠になる。
赤木ファイルでの冒頭の、「現場として厚遇した事実はない」は、
「(現場ではない)本省理財局が厚遇した事実がある」
との証言なのである。
森友問題での「公租公課」に関する謎ふたたび
赤木ファイルの構成は、冒頭に備忘記録として記録した理由とまとめの表が2ページあり、あとは、指示内容のメールとそれに添付された修正事項のやり取りが組織として共有されて積み重なっている。(改ざんという行為とは言え)作業の経緯を跡付けできるようにまとめられた、国民の財産である行政文書だ。
ところが、その赤木ファイルの中で、前後の脈絡がない、メールが1通、混じっていた。
「件名:公租公課の取扱について」[赤木ファイル、p499]
だ。
2月16日深夜、翌17日未明に行われたメールのやり取りで始まった赤木ファイルは、その後、時間を空けて、2月26日(日)15:46のメール[赤木ファイル、p503]から本格的な改ざん作業に入ることになるが、そのメールの添付資料のプリントアウトだと思われる途中に、この「公租公課の取扱について」17:13のメールが挟まれている。
時系列的に、15:46のメールの添付資料に、17:13の「公租公課」メールが含まれていることはありえないので、プリントアウトした際の入れ違いか、後になってファイルで綴じる際に入れ込んだか、と、「普通」ならそう解釈して納得するだろう。
しかし、「普通」ではないのが森友問題。しかも、「公租公課」の件は、森友問題においては、「普通」ではない経過をたどっている。
私が、森友問題における公租公課の件で、不可解さを感じたのは、会計検査院が「その後の検査」(平成30年報告)で、この件を全く無視していたことだった。
そこで、森友問題における公租公課の件について、改めて復習すると、
・公表されたのが、財務省が一連の改ざんを認めた二日後(2018年3月14日)
・抜取りが行われたのが、一連の改ざんより2年ほど前(2015年6月)
・メモを見ると、「理財局国有財産審理室より」「(以下、業務課見解)」との文字が並び、本省理財局の課を横断して取り扱いが検討されているが、この件に関しての記録は本省からは出て来ておらず、近畿財務局にある資料からしか出てきていない
・改ざん発覚前の会計検査院検査(平成29年報告)では、公租公課を考慮しなかったことについて問いただしているが、財務省側は「考慮していなかった」、「把握していなかった」と、虚偽の答えをし、検査院もそのまま受け入れている
・改ざん発覚後の会計検査院「その後の検査」(平成30年報告)では、この文書を意図的に抜き取っていたことも明らかになっていたのに、この件に全く触れていない
・抜取りが行われた当時の近畿財務局の総務部長は、前年の本省相談メモで「業務課長了」とした当人
・後の改ざんで「中核的役割」を果たす本省理財局総務課長は、当時国有財産企画課課長で、公租公課メモ作成日の約1か月前(2014年12月8日)に近畿財務局から架電を受けている記録が黒塗りで残っている
など、偶然では片づけられない不可解なことが多い。
[当ブログ記事
”「森友問題」会計検査院報告「その後の検査について」(2018/11/22)から抜け落ちた「公租公課」について”
”「森友問題」テレビ東京による「財務省不開示文書入手」ニュースから分かったこと(2019/11/05)”
ほか参照]
そこにさらに、今回の、赤木ファイルだ。
前後のつながりもないまま、「公租公課の取扱について」のメールが、不自然な位置に挟み込まれている。
このメールは、近畿財務局の管財総括第1課の職員が、本省の《黒塗り》補佐に対して送ったもので、CCで赤木氏を含めた6人の近畿財務局職員に共有されている。メールの添付ファイルは、プリントアウトされていないようなので、具体的な内容は分からない。また、前後の脈略がないので、なぜ送ったのか、依頼されたのか、その後の受け取りの反応はどうだったのかは、全くの不明だ。
たまたまそこに紛れ込んだのか。
あとから意図的に挟み込んだのか。
前後を抜き出してそれだけ残ったのか。
「普通」なら、何らかのミス、偶然たまたま、と片付けていいのだろうが、「普通」ではない森友問題での、不可解なことが多く残ったままの公租公課の件。
赤木ファイルをもってしても、公租公課の謎は解消されず、新たな謎を生み出すことになった。
(もっとも、これも、生存している当事者たちが説明すればいいだけの話なのだが、財務省は説明を拒み続けている。)
赤木ファイルで解消した謎と深まった謎
以上のように、赤木ファイルでは、解消された謎もあれば、新たに生まれた謎もあった。
今回の公開により、ずっと疑問だった、「佐川氏指示メール」の存在や、財務省調査報告書での「配下職員の反発」の記述への違和感が、ようやく(一部)、解消された。
ただ、その一方、今回の黒塗りでもわかる通り、すべてを開示し、正直に語る姿勢を見せない限り、疑問は解消せず、膨らむばかりだ。
今回も、公租公課メールなどについて、新たな違和感が膨らんだ。
森友問題では、違和感こそが、後の問題解消の説明に結びつく。
そして今回新たに生まれた違和感は、新たな情報でしか解消されない。
更なる情報に期待したい。
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赤木ファイルには、赤木さんが関わった部分の経緯、箇所がしめされているだけであり、それ以前(元総理の発言以前)から近畿財務局が行っていた修正や削除について述べられていません。
近畿財務局は、元総理の発言(2017/2/17)よりも前から決済文書の書き換えをやっていたことが報道済です。
2017/2/16に赤木氏が送付した文書は、既に別の職員により修正済のものであったということが下記の記事によりわかります。
参考>
2018/4/12 毎日新聞の記事
https://mainichi.jp/articles/20180412/k00/00m/040/155000c
7カ月遅く説明 財務省、発見の経緯改変
>森友学園の問題が初めて報道された直後の17年2月10日に財務省が野党に提出した「経緯表」には15年8月26日、「学園から地下埋設物が発見されたとの連絡」との記載があった。だが、4日後に再提出された表ではこの項目がなくなり、代わりに16年3月11日に「新たな地下埋設物が発見されたとの連絡」と加筆された。同省はその後、16年3月に新たなごみが発見されたとの説明を続けている。
2018/3/14 日経の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28096940U8A310C1PP8000/
森友決裁文書、15年にも一部削除 開示請求後に書き換え
>財務省は13日夜、学校法人「森友学園」への国有地貸し付けに関する決裁文書について、2015年6月に一部を削除していたと明らかにした。削除したのは賃料の考え方を記載したメモ。学園側から情報開示請求があり、同学園の籠池泰典前理事長らに見せるのは都合が悪いと判断して近畿財務局が削ったとみられる。
2018/6/4の財務省が発表した森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書は、赤木さんの関った部分以外もふくめた。近畿財務局(財務省)のずさんな決裁文書の管理体制や、安易に文書を書き換える体質についての報告書です。
さて、書き換えの動機ですが、削除された部分に「隠したい事実」があるかどうかが大きなポイントになるのではないでしょうか?
私も財務省の報告書、提示していただいたファイルの全文を確認しています。
黒塗りの部分は「個人情報」にかかるものであり、ふせられて当然と考えます。
書き換え前の政治家の名前や元総理夫人の名前がかかれた部分は、取引を有利にすすめることや、値引き交渉が進む要因と読めるでしょうか? むしろ「そう言われても対応できません」のお断り文章であり、値引きや取引にかかわっていないことの証左になっていませんか?
対して、赤木氏が関わった以外、あるいはかかわった部分での削除で、大きく影響を与えている部分に気が付きませんか?
問題の本質はそこだと思いますよ。
追伸>
申し訳ありませんがメールアドレスはダミーで記載しています。
ご了承ください。
通りすがりの人 様 ご投稿ありがとうございます。
こんな過疎ブログを見つけて、私の拙い長文を読んでいただいた上に、コメントまでいただき、誠に恐縮です。
ご指摘の、「赤木さんが係わった部分以外」を(も)本質だとする点には、同意します。
さて、私も参考までに、
>2018/4/12 毎日新聞の記事
については、当ブログ記事”「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/04/12)”[公開2018/04/13]で、
>2018/3/14 日経の記事
の内容については、当ブログ記事”「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/13)”[公開2018/03/13]で、
それぞれ一部分を取り上げております。
3年以上前の当時のニュース報道で得られた情報からの、もはや旧聞に属する個人的な当時の感想に過ぎませんが、お暇なら参考にしてください。
>書き換え前の政治家の名前や元総理夫人の名前がかかれた部分は、取引を有利にすすめることや、値引き交渉が進む要因と読めるでしょうか? むしろ「そう言われても対応できません」のお断り文章であり、値引きや取引にかかわっていないことの証左になっていませんか?
この点にも(一義的には)同意します。ただし、値引き交渉が成立していなければの話ですが。
実際、ある時点までは、取引を打ち切るところまで進んでいました。そのまま交渉を打ち切っていれば、何の問題もなく、その後の悲劇もなかったでしょう。
でも、事実は、ご存じのとおりです。ある時期を境に、交渉が一転して進むことになっています。
「対応できない」はずなのに、ある時点を境に「積極的に対応する」ようになった。それどころか、最終的に値引きされて売却された。
この「証左」について、資料を読み込んだ博学なあなたならご存じではないでしょうか。
(もっとも、資料を読み込んだ者であれば、その時の資料が「なぜか」ないことに疑問を持つのでしょうが。)
ブログ記事本文に書いてあるので繰り返しになり恐縮ですが、赤木ファイルでの
「現場として厚遇した事実もない」
という言葉は、
「現場以外が厚遇した事実がある」
ということです。
なお、本省理財局がいつからどれだけ関わっていたのかを当時の公開された情報からまとめたのが、
当ブログ記事”「森友問題」応接記録で隠しきれなかった本省理財局の関わり具合のまとめ(2018/11/21)”[公開2018/11/21]です。
これも3年以上前の、当時の一般に得られる情報から導き出した個人的な結論に過ぎませんが、お暇であれば参考にしていただければと思います。
最後に、申し訳ありませんが、コメント最後部分での「気が付きませんか?」の問いかけには、「スイマセン、何を言っているのかよくわかりませんので、はっきりと言ってくれればありがたいのですが」としかお答えできません。これはひとえに私の読解力不足のせいです。
私に読解力がないので、カンでしかありませんが、「通りすがりの人」様の言う「問題の本質」と、私の考えるものはおそらく違うように思います。(間違っていたらゴメンナサイ)。
もちろん、「通りすがりの人」が、再びここを「通りすがる」とは限らないので、この返信を読んでいただけるとは思いませんし、さらなる返信も期待しておりませんが、コメントありがとうございました。
返信ありがとうございます。
今回の件、財務省のHPで過去に公開されていた別の報告書と付随資料の「応接記録」にどのような経緯で土地取引の値引が進んだのか、如実に記載されています。
今はホームページ上でみつけることができなくなっていますが、URLはまだ生きているようですので、ご興味がありましたらダウンロードしご確認ください
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523q.pdf
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-1.pdf
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-2.pdf
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-3.pdf
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180523p-4.pdf
私は、具体的に値引きの経緯となったのは、上記に示した総理の発言前に書き換えられたことに関連する「近畿財務局が追加のゴミを発見した経緯とその後の対応」にあると思っています。
上記、「20180523p-3.pdf」中の「P170 H27/8/26 豊中小学校事案にかかる応接記録(受電)」「P171 H27/8/27 現地立ち合い」「P177 H27/9/4 来訪会議」をご確認ください。
工事中にゴミが見つかったのに、処理費用が掛かりすぎると土地所有者の大阪航空局が難色を示し、工事関係者に指示して「そのまま埋め戻した」指示がなされています。この行為、後述しますとおり「廃棄物処理法違反」に該当してもおかしくない行為です。
そして、学園の工事が進み、籠池氏側がH28/3/11にゴミを発見し、近畿財務局を責め立てます。
「20180523p-4」の「P69 H28/3/11 籠池氏から受電」から「P71 H28/3/14 現地事務所での会議」までにその時のやり取りが記載されています。
ゴミ処理の工事を担当した近畿財務局が、手抜き工事を指示したことを籠池氏側はつかんでおり、そのことで近畿財務局と大阪航空局に責めたてられ、取引中止、損害賠償訴訟も取るべき方法の一つだと非情に苦しい立場にあることが確認できます。
本来ならここで契約解除、損賠賠償請求されて終わりの話です。
しかし、籠池氏側の弁護士から、案として「安価な土地価格を提示していただくことで、こちらとしても将来の地下埋設物リスク等を今後問題にしない形で契約し、問題解決する方法はとれないか。」と提案しています(H28/3/24 応接記録)
籠池氏は「地下埋設物の問題により工期が延びた関係もあって建築工事費が増大した。これは国の責任ではないのか。工期の延長と熊本震災の影響で8,000万円の増額契約をせざるを得なかった。我々に相当の負担が生じている状況下で、今後、訴訟をしませんよといった条件で土地を買受けるのであれば、金額は限りなくゼロに近いものであるべき。」と強気で責め立てています。(H28/5/18 応接記録)
別のゴミについて、H27/8に知っていて、H27/9/4に埋め戻せと指示していたことを踏まえると、森友学園からの申し出、要求は無茶な要求には思えませんでした。
そして、近畿財務局側も「このまま、物別れで売却の話が進まないことは残念である。当局として、いずれどういう形であれ、請求されるであろう損害賠償請求を待つよりは、売り払いの話を進めさせていただく方が貴学園にとっても有益ではないかと考え、昨日の今日ではあるが電話させていただいた。」と提案し、学園側も「納得のいく形で提案してもらえば購入を考えたいと思っている。」と取引継続に同意しています。(H28/5/19)
さて、一連の経緯について、国会にて佐川氏はH29/3/6の6日の参院予算委員会で民進の白真勲氏からの質問に「打ち合わせ記録を承知していない」とした上で、「掘り出したごみを埋め戻すといったようなことを近畿財務局が指示するということはございません」と答弁しました。
その後の民進のヒアリングでは、財務省の担当者は「近畿財務局の担当者への聞き取りをしていません」と説明「財務局の人間が法令に違反するようなことを言うわけがない。確かめるまでもないと思っている」とべています。
記事にもあるように廃棄物処理法は、工事現場で出た産廃土はごみと土に分けて適正処理するよう義務づけています。適切な処理ではないことを近畿財務局から指示された工事関係者は「国の指示はおかしいという認識はあった」と取材に話したことが報じられています。
https://www.asahi.com/articles/ASK365RSGK36PTIL02K.html
この経緯、毎日新聞の報道にあるとおり、総理発言前に書き換えられています。応接記録は残っており、上記記事ある「打ち合わせメモ」とも内容は同じであり、この経緯は事実であったとみています。
上述のとおり、近畿財務局の不手際(廃棄物処理法違反)にかかる問題であり、かつ学園側に対して近畿財務局の重大な落ち度です。このことがきっかけで土地の値引について大きな動きがあったことを、籠池氏は国会答弁でも述べられています。
第193回国会 衆議院 予算委員会 第18号 平成29年3月23日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=119305261X01820170323¤t=2
086「生活ごみが出てまいりました後、急転直下、物事が動いたということは、そういうふうな考え方もあろうかと思います。」
219「要は、地中の方に生活ごみが大量にある、そして結果として軟弱地盤でもあったので一億三千万になったということであります。そういうことですね。お国の方が決めることですので、私はそれで受けさせていただいたということです。」
赤木氏が書き換えにかかわった際に、H28/3/11の経緯はさらに削除され、そのほかの部分も上記に関連するゴミ処理に関する記載がほぼ削除されていたのは既にご確認いただいていると思います。
長くなりましたが、つまり「近畿財務局の違法行為と追及されるかもしれないゴミ処理の不手際があったことを隠すため、それに対して、佐川氏は近畿財務局が指示するということはございませんと答弁してしまったことの辻褄を合わせるため」に書き換えを指示した、とみています。
私見にお付き合いいただき、ありがとうございました。
通りすがりの人 様 早速のご返信ありがとうございます。
(当ブログのプラグインがせっかくのご返信をスパム扱いにしており、手動によるスパム解除と承認が遅れて申し訳ありません。同様の内容で2通ありましたが、最新の方を解除・承認させていただいております。)
私のわがままな要望「はっきりと言ってくれればありがたいのですが」に応えていただき、誠にありがとうございます。
おかげさまで、お互いが捉えている「本質」が異なっていることがはっきりしました。
ご指摘の「追加のゴミ」については、森友問題を語る上で、重要なパーツであることは、間違いありません。引用されている内容も、(わざわざ原典を確認はしていませんが)私の記憶通りで、間違っているとは思いません。財務省が「2015/9/4打合せ記録」(とその内容)を隠そうとしたのもその通りだと思います。
ただ、その解釈において、私の認識は異なっております。
「追加のゴミ」に関しては、私もこれまでミスリードされてきた面は否めませんが、(とりあえずの)現時点での認識は、
当ブログ記事”「森友問題」8億円値引きごみストーリーにおける国土交通省の関与についての現時点でのまとめと考察(2020/04/08)”[公開2020/04/08]です。(我田引水ばかりでスイマセン)
この件では、近畿財務局の不手際も否めませんが、施主(籠池氏)に報告しなかった(元)工事業者、「ごみストーリー」を最初に言い出した大阪航空局など、様々な要因が絡まっています。近畿財務局だけに責任を負わせるものではなく、財務局なりの言い分もあるでしょう。ましてや、これだけで改ざん理由にするには荷が重すぎます。
そもそも、最初にご指摘された2015年に近畿財務局が削除したメモについては、内容的にも時系列からしても今回ご指摘された「追加のゴミ」の動機では説明できません。
私の説明不足もありますが、先の返信で、「ある時期を境に、交渉が一転して進むことになっています」と書いたのは、売買契約より以前の、賃貸契約での交渉過程での話です。具体的な時期で言うと、2014年4月末から5月にかけてです。
それらも含めて一連の改ざん内容を踏まえれば、共通する要因が見えてくると思いますが。
今回のご返信のように、せっかくそこまで資料を読み込んでおられるなら、もう一歩踏み込むめば、と勝手ながら思っております。
コメントありがとうございました。
ご返信ありがとうございます。
不明な点で「不適切な文書の書き換えがいつ行われていたのか?」を挙げられていましたので「赤木氏が関与する前から廃棄物法違反の書き換えを行っていた」という事実を記載しました。
また、2015年の時点でも書き換えがあったことを示したのは記載したとおり「近畿財務局が常態的に書き換えを行っていた」という報道があったことを示しています。
また、2017年の4月新聞記事で近畿財務局は、学園との土地取引以前にも同じようなミスを繰り返していたことが報じられています。
>国有地取引 近畿財務局、調査ずさん 契約後、廃棄物の発覚続々
>朝刊社会面 毎日新聞 2017/4/21 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20170421/ddm/041/010/126000c
近畿財務局はミスを犯して、また損害賠償を支払わなければならない事態だった。
本省に顔向けができない、自局の繰り返すミスの報告をまたしなければならない責任問題です。
・廃棄物法違反の記載を本省や国会にだしたくない
・損害賠償を求められ契約が破棄される原因となる不手際経緯の隠ぺい
動機の根本は「自己保身、組織保身」です。
「隠したいことがあるから書き換えた」
上記記述の削除・隠ぺいは、公文書の書き換えの動機として十分以上ではないでしょうかね。
しかし、そんな状況でありながら、学園側の弁護士は「地下埋設物リスク等を今後問題にしない形で契約し、問題解決する方法」提案をしてきた。
契約破棄となったら新たな取引先を見つけなければならず、そこでもゴミ問題は再燃します。後日、ゴミ処理費用は9億を超えた額が試算されています。学園のように、賠償しないから値引けと言った提案の方が、近畿財務局にとっては願ったり、かなったり、上得意様として取引を継続したかった相手と考えて不自然な点はないでしょう。
>「ごみ撤去費9億8千万円」業者が試算 特捜部、合理性認め不起訴処分
2018/6/1 15:42
https://www.sankei.com/article/20180601-AKXLKVILA5OUHM2NGKOTC5EXAM/
2014年4月末から5月にかけてについては、答えはでていますよね?
記録を読めば「資金計画がたたなければ認可相当をだせない」「認可相当の判断を大阪府がくださないと進めることができない」「認可相当をだしてもらえば資金計画は成立する」と、いわば三竦みの状態でした。
大阪府が認可相当を出したことで、話が進んでいます。
このとき、認可にむけて働きかけていたことは国会で籠池氏が証言済です。
「本省への「紹介を鴻池氏におつたえしたが、鴻池事務所が断った」
「大阪府の設置規制緩和で、籠池:東徹議員(維新)に依頼した。
そのほかに設置認可、土地の取得で、声をかけた人として、国土交通副大臣の北川イッセイ氏(自民、前参院議員)柳本卓治氏(自民、元参院議員)を挙げています。
とはいえ、どの方に対して声をかけても「ご期待に沿えない」と断られていることも明記されています。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/03/23/moritomo-academy_n_15557036.html
大阪府の設置規制緩和について、当時の松井知事は「他都道府県と比較して厳しすぎたのを緩和しただけた」「国会での答弁に応じる」ともいっていましたが、大阪府議会に自民党が提出した百条委員会設置の動議を否決しました。真相は闇のままです。
https://mainichi.jp/articles/20170325/k00/00m/040/113000c
大元の問題はここでしょう?
マスコミも野党もなぜここを追及しないのか、私には不思議でなりません。
通りすがりの人 様 ご返信ありがとうございます。
先の返信での繰り返しになりますが、改めて、お互いが捉えている「本質」が異なっていることがはっきりしました。
「追加のゴミ」で近畿財務局、設置認可で大阪府、が問題であることについては、同意しますし、大いに追及すべきだと思います。
ただ、そんな「通りすがりの人」様が、改ざんについて、近畿財務局に押し付けて、本省理財局の責任をなぜ避けているのか、「私には不思議でなりません」。
初めのこちらからの返信で、「お暇であれば参考にしていただければ」とお伝えした当ブログ記事はどうやら読んでいただけなかったようですね。
お忙しいなら仕方がないですし、強制するものでもありませんから。私もこれまで提示されたリンクは(既知であるというのもありますが)クリックしてませんので。
「近畿財務局が常態的に書き換えを行っていた」と言うのは、ある意味、事実ですが、「地方局の単独犯行だ、だから本省は関係ない」と、ミスリードを誘う恐れがあります。(意図的なのかどうかは分かりませんが)。
細かいことを言うようですが、2015年の「書き換え」は、正確には「抜き取り」です。(決裁文書の改ざんであることには違いありませんが)。
そして、抜き取られていたのは、本省理財局の「国有財産審理室より」賃貸契約の公租公課相当額について控除できるかどうかを課をまたいで検討した上で「できる」と判断した1ページのメモです。
抜き取った近畿財務局の(一応の)言い訳は「籠池氏による公開情報請求で、本省に相談していることを知られたくなかったから抜き取った」といった趣旨だったと記憶してます。
この言い訳を信じるかどうかは別として、メモは2015年1月に本省で作成されており、少なくともこの時点で本省がこの件に深く係わっていることには間違いありません。
公租公課については、他にも奇妙な点があることは、(当記事のリンクにも貼ってあるので)繰り返しになりますが、
当ブログ記事”「森友問題」会計検査院報告「その後の検査について」(2018/11/22)から抜け落ちた「公租公課」について”[2018/12/29公開]
など、3年前に指摘しております。
また、2014年末から5月にかけてについて、「答えは出ていますよね?」とおっしゃられますが、なぜ、この時の記録について、「本省相談メモ」とはっきりおっしゃらないのか、「私には不思議でなりません」。
まさかとは思いますが、「本省」との言葉が付いているからですか?
ちなみに、これも当ブログで指摘済みですが、その本省相談メモでは、最終的に(本省の)「業務課長了」としており、その時の業務課長が後の近畿財務局の総務部長になっています。そしてその総務部長の時に、近畿財務局で2015年の「抜き取り」が行われています。
「通りすがりの人」様のご返信は、肝心なところで遠回りをしているように感じてます。近畿財務局のせいにしなければならない理由でもあるのでしょうか?
「通りすがりの人」様には届くかどうかわかりませんが、赤木氏の遺書の言葉を引用させていただきます。
「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」。
直前の書き込みでの大きな間違いをお詫び訂正いたします。
近畿財務局の行ったことは財務省は承知しており、近畿財務局=財務省が不手際の発覚を恐れて書き換えて見せたくなかった相手は「与党および野党」と「会計監査院」です。
「週刊文春」2020年3月26日号に掲載された「森友自殺〈財務省〉職員遺書全文公開 『すべて佐川局長の指示です』」の記載を引用されておりましたので、私なりに赤木氏が「なにに追い込まれた」のを憶測を交えて記載いたします。もう少しだけ私見にお付き合いください。
「厚遇した事実はない。そのままの調書で会計監査院の調査をうけるべき」に言外の意図を補足するとしたら「厚遇した事実はない。【近畿財務局・財務省の不手際を隠すような削除はせず】そのままの調書で会計監査院の調査をうけるべき」だと考えます
赤木ファイルと、本省相談の応接記録、国会での答弁を突き合わせていくとこのような経緯が見えてきます。
H29/2/17 首相発言のあと、H29/2/24 佐川氏答弁があり、2/26に回目の書き換えが行われました。
この時、赤木氏は「ゴミを埋め戻せの経緯を知らなかった」と思われます。
2/26の日付記載のあった経緯表には、既にゴミ発見の経緯を既に削除されたものであったことを示した通りで、経緯を知っていたら「不手際をつかれ、交渉が不利になった落ち度」と認識するでしょう。
その後、3/6に佐川氏が「近畿財務局がそんなことをするはずがない」と答弁し、3/7からさならなる修正指示に対応しています。
この時の書き換えで「本省理財局の承認をうけて」「提示して交渉を重ねた結果、価格交渉」「瑕疵責任を追わないことは本件のポイントとなる」「ゴミの現地施策を実施したこと」これらの記載を削除しています。
これらの記載、むしろ残しておいた方が値引きに正当な理由として説明に道理がつきます。なぜ削除したのか「この時点」で不思議に思ったでしょう。
それどころか部下二人ともども泣いて抵抗したということも納得できます。
「本省からの出向組の次長は「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行った。」のですから、同意した本省からの出向組の次長に不信感を抱いて当然です。
H29/4/10 の修正記録では「H25.6.3の公募後に他の応募者が無かったことを大阪府、豊中市に確認した記載」が削除されています。この点も不自然です。
H29/4/11から13日にかけて会計検査院の一回目の特別検査 実施されました。
応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さず、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示があったことも不自然です。
会計検査院の検査はH29/6にもう一度行われ、この頃から俊夫さんは目に見えて元気がなくなっていったとのことです。
H29/6の検査で、赤木氏は「ゴミを黙って埋め戻せ」の経緯をはじめて知ったのではないでしょうか?
自分が3月に関った文書の書き換えが、「値引きの正当な理由の削除」ではなく「過去の廃棄物処理法違反、近畿財務局の不手際隠しに加担した」ことに気が付き、自責の念に堪えられなくなったのではないでしょうか。上司にも騙されていた(隠されていた)のは相当ショック、うつ病になってもおかしくないことだったと推測します。
その後、7/15 精神科を受診、うつ病と診断されたあと、20日から病気休暇する直前に
>7/19 俊夫さんは「森友のことだけやないんや」と気になる言葉を残している。
のは、そういうことではないかと推測します。
次に赤木さんに大きな変化があったのは、11/17 職場を通しての事情聴取の要請があったのち、12/25に久保田検事より受電があり、20分話した後です。
>あれほど尊敬していた上司の池田氏についても批判を口にするようになる
>「池田さんは仕事が雑や。池田さんがちゃんと(国有地を)売っていたらこんなことにならんかった。大学に売っとったらよかったんや」
久保田検事からさらに池田氏や近畿財務局・財務省の不手際、そのほかの事情について詳細なことを聞いたのではないでしょうかね
池田氏は取引の中心人物であり、全ての経緯を知っている直属の上司です。信じていた上司は実は信頼に値しない相手、それどころか不手際のを隠すため、自分を書き換えに巻き込んだ。私がうつ病でそんなことを知ったら絶望に拍車がかかりますね。
>財務省理財局(国有財産担当部門)には、組織としてのコンプライアンスが機能する責任ある体制にはない
この文言に込められた思いはこんなところではないでしょうか。
私は、赤木さんの奥さんが訴訟をおこして明らかになっていない事実関係を、といっていたのはこの部分の解明を目的としているとおもっていました。
ところが、そんな素振りをみせないので、一体なにを目的としているのかわからなくなっています。
ご返信ありがとうございます。
「そういう見方もあるのか」と参考になります。
ただ、赤木さんの自死の原因に対する私の見解は異なります。
これも当ブログ記事で恐縮ですが、赤木氏の遺書が公開されたときの私の考察が、
”「森友問題」全文公開された「自殺職員手記」についての整理と考察(後編)―手記の考察”[2020/03/22公開]
です。
そこにも記しましたが、遺書となった手記を読んで感じたのは、
「赤木さんは、改ざんのことを直前まで隠そうとしていた(だからこそ改ざんにそこまで苦しんでいた)」
という点です。
遺書となった手記では、前半部分は、法律相談文書について当時の太田局長や麻生大臣が虚偽答弁をしていることが書かれています。
改ざんのことが出てくるのはその後です。
構成や内容から判断すると、朝日新聞の「決裁文書 書き換えか」スクープが出てから、改ざんのことを書き加えたように見えます。
つまり、赤木氏は、改ざんのことを、朝日スクープが出て世間に知られてから、初めて伝えようとした、と思われます。
この点については、先日、週刊文春で公表された赤木氏の自宅メールでも裏付けられてます。同僚には「改ざん」とは直接に言及せずに苦しんでいる現状をメールで伝えており、改ざんについては家族にも言わなかったことが分かります。
赤木氏にとって、(抵抗したとはいえ)「改ざん」をしてしまったことが、ずっととても重くのしかかっていたことが想像できます。
スクープがあったときは、どこかホッとしたところがあったかもしれません。
「これで財務省が正直に語ってくれる」。
だが実際は、さらなる地獄でした。すぐには改ざんを認めない財務省、何も言ってこない同僚、「改ざんは職員が勝手にやってアベさんは悪くない」という声。
これらはすべて、赤木さんにとっては、自分に責任を押し付けようとする動きにしか見えなかったでしょう。
その時の赤木氏の立場を考えると、心苦しくなります。
「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」
もちろんこれは、死者の思いを生者が勝手に解釈したものです。基本的には、自殺した人の本当の気持ちは誰にもわからない(下手をすれば当人にもわからない)と、考えております。(こんなブログ記事を書いていて今さら何をと言われるかもしれませんが)
ただ、完全に理解することは無理でも、少しでもその思いに近づけることを切に願っています。これが、生者による死者への冒涜にならんことを。