読売新聞の日中関係悪化の原因の決めつけがすごい

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記事でその事件の背景を説明する際には、執筆者や新聞社の思想が現れやすい。

事実関係を報告するだけなら思想の主張は入り込みにくいが、なぜこの記事を取り上げたのか、なぜこうなったか、これが与える影響は、などの説明には、記者としての判断、新聞社としての主張がどうしても入り込むからだ。

読売新聞が、ここ最近、日中関係を記事にするとき、どんな「枕詞」を使って記事にして、2017年9月10日(日)朝刊の特集記事で、仕上げたかを報告したい。

1.最近の日中関係の読売記事

ここ最近の、日中関係を記した読売新聞の記事に、気になることがあった。

それは、日中関係が悪化した時期を、

2012年の尖閣諸島国有化をきっかけ

ということを、やたら強調していたのだ。
それこそ、日中関係に関しての記事を載せるたびに言及していた。

もちろん、尖閣諸島国有化が原因の一つであることは、間違っていない。ただそれは、悪化していく流れの一つにすぎず、反日暴動、中国漁船衝突、石原都知事による尖閣買取運動、EEZ侵入、東シナ海での一方的資源開発、安倍首相靖国参拝などの要因が絡まって進んできたものである。

ここ最近の読売新聞のように、たった一つの原因を強調するのはどうしても違和感があった。

2.2017年9月10日(日)の読売新聞記事

この日の読売新聞は、1面の目次が、

尖閣諸島国有化5年

2017年9月10日(日)読売新聞朝刊1面目次

で、3面にこの特集記事を載せた。

そしてその横にある社説が

適切な法執行で主権を守れ 海保警備体制

2017年9月10日(日)読売新聞朝刊3面社説

で、約三分の一は尖閣国有化以降の中国公船の分析と警戒について述べたものであった。

いわば、この日の読売新聞は、3面記事と社説で、尖閣諸島国有化5周年を特集していた。

3.尖閣国有化5年ありき?

野田政権が尖閣諸島を国有化したのが2012年9月11日で、次の9月11日で5年になることは、ずっと前から当然分かっていた。

そうなると、読売新聞がこれを特集するのは、ずっと前から決まっていて、この特集を盛り上げるために、それまでの日中関係の記事に、わざわざ、尖閣国有化のことを強調したのではないか、という疑問が出た。

ここまできて、ここ最近の、読売新聞の違和感のある「尖閣国有化をきっかけ」の強調はこの特集を盛り上げるためだったんだ、と納得できた。

正直に言うと、

私はそうは思わないのだが、「安倍政権寄りと思われている」読売新聞が、政権に忖度して日中関係が悪化したのは民主党政権のせいだった、と強調している、と疑う人がいるのではないか、と思っていた。私はそうは思わないのだが。

実際は、この日の特集のために、強調していただけで、他意はなかったことが明らかになった。「読売新聞が安倍政権寄りの新聞」というのは下種の勘繰りにすぎなかったのである。

私はそうは思わないのだが。

まとめ

  • 最近の読売新聞で日中関係の記事にお決まりの言葉があるのがすごい。
  • 特集記事のために、それより前から盛り上げようとする読売新聞がすごい。
  • 読売新聞は、「安倍政権寄り」だと「勘違い」されても気にしないところがすごい。

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