この記事のこの場所に「この記事には広告が含まれます」という一文が目立つように書いてあります(ここはそういうところですよ?)
《以上広告アナウンスでした。以下本文》
この時期(2017年夏)に、読売新聞のすごさを語り始めるうえで、この記事、
前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中 平日夜
読売新聞2017年5月22日朝刊
を避けて通ることは許されない。
この記事はあまりにも有名であるが、改めてどこがすごかったのかを箇条書きにすると、
- 読売の独占・独走記事
- 読んだ人がつい一言いいたくなる記事内容
- 官房長官会見でも取り上げられる社会現象に
- 経営する読売巨人軍の成績にも影響?
- あまりの反響に社会部部長が再解説
などがあげられる。読売新聞愛読者の一人として、これらのすごさを、ぜひ伝えていきたい。
1.掲載前の状況
掲載前の状況として、押さえておきたいのは、私は全くそうは思わないのだが、
読売新聞は安倍政権寄りの報道機関
と世間一般では思われているらしい。私は全くそうは思わないのだが。
そう思われている状況の中で、読売新聞は、祝日の憲法記念日の2017年5月3日朝刊で、安倍首相との独占改憲インタビューを掲載する。
反響は大きく、後日、首相が国会答弁で、
自民党総裁としての考え方は、相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいていいのだろう
2017年5月8日衆議院予算委員会長妻議員への答弁
と述べたことでさらに話題になり、後日、読売新聞の編集局長が取材経緯を明かす異例の記事を載せるほどだった。
(個人的には、実際に行われた取材テープが存在するのなら、ぜひ公開して、読売新聞がいかに紙面にインタビューを華麗にまとめたのかを知らしめてほしいのだが。存在するのなら。)
そのような状況の中で、突如登場したのが、5/22読売新聞朝刊出会い系バー記事である。
2.記事掲載
この記事を全文掲載したいのだが、著作権は読売新聞社様にある。ただ、この記事のすごさをどうしてもお伝えしたいので、あえて、パロディという形で著作権を回避し、原文の記事をすごさを表現したい。
お題「もしも、読売新聞が出会い系バー取材した読売記者を取材せずに記事にしたら」
読売新聞記者 出会い系バー通い
歌舞伎町取材中、平日夜
国会で首相に「熟読してください」と名指しされた読売新聞、その記者が在職中、売春や援助交際の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが読売新聞の記事からわかった。新聞発行部数トップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ。
関係者によると、(以下、出会い系バーの説明を中略)。
複数の読売関係者によると、読売新聞記者は、「独自の取材で、前川氏が売春や援助交際の場となっている『出会い系バー』に頻繁に出入りしていたことをつかみ、裏付け取材を行った」という。前川氏が平日の午後9時過ぎごろに来店したことを確認するために、記者も同様の時間帯に訪れ、店では読売新聞記者を名乗っていたという。同席した女性を取材し、連れ立って店外に出たこともあってもおかしくない。店に出入りする女性の一人は「しょっちゅう取材に来ていた時期もあった。取材の交渉をしていた女の子もいるし、私も取材されたことがある」と証言してもおかしくはない。
5月8日に首相から「熟読してください」と言われた後に来店していたといい、店の関係者は「5月17日に朝日新聞で『総理のご意向』が書かれた文書がスクープされるまでは来なかったけど、そのあと前川さんがNHKや週刊誌のインタビューに応じたと聞いてから急に取材に来た」と話していたとしてもおかしくはない。
読売新聞はこのあと6月3日に、社会部長が弁明の記事を書いたが、前川氏が買春をしていた証拠や、どのような経緯で情報を知ったのか、社内組織「適正報道委員会」を通したのか、などの読者が知りたい情報をいっさい明かさなかった。
「出会い系バー」や(・・・以下「出会い系バー」の再説明、前川氏の経歴、どっかの教授のコメント、を後略)
(パロディ記事以上)
もし原文に当たりたい方は、図書館に行って5/22付の読売朝刊を閲覧するか、有料でクレジットカードが必要だがデジタル読売に入会して記事検索してほしい(しつこいようですが有料です)。ただ、ネットでは許しがたいことに、それらしい言葉で画像検索すると、さすがに人気記事といったところで、現時点では文字の読める記事画像がズラーと閲覧できる状態で、著作権保護の観点から嘆かわしい状況だ。当局の対処を求めたい。
話は変わるが、文章力を上げる練習として、社説や新聞コラム「編集手帳」など新聞に掲載された名文を丸写しにすることはよく勧められる。読者投稿欄「気流」でも、何年に一回かの割合で、「私も貴紙の記事を写して練習してます」といった投稿が採用される。
私も今回の文章をすらすらと書けたのは、元の読売新聞の記事が名文であったからだと、つくづく思った。
それはさておき、この元の記事は、あの人気4コマ漫画『コボちゃん』(植田まさし)のすぐ横に掲載されながらも、『コボちゃん』に匹敵する影響を読者に与えたと言っていいだろう。
3.影響
この状況下で、このような記事を載せた読売新聞はすごい。
私はそうは思わないのだが、この状況下から、
読売新聞は官邸筋からの依頼で裏付け取材が甘いまま見切り発車でこの記事を載せたのではないか
と疑う人がいるらしい。私はそうは思わないのだが。
そう疑われることを覚悟でこの記事を出した読売新聞はすごい。
官房長官会見でこの記事について取り上げられて、そのときの官房長官の薄ら笑いが一部の人に叩かれたり、この記事と軌を一にするように、プロ野球で読売巨人軍が球団最悪の13連敗を喫したりと、様々な影響を及ぼした。
このような影響があってか、読売新聞は、6/3朝刊で社会部長名の記名記事、
次官時代の不適切な行動
報道すべき公共の関心事社会部長 原口隆則
読売新聞2017年6月3日朝刊
を掲載した。この記事も全文引用したいのだが、著作権の関係から全文引用するのは断念する。決して、内容のない文章だからではない。決して。
もし原文に当たりたい人は、(省略)。
批判を覚悟で記名記事を出す読売新聞もすごいが、この記事が、読者が聞きたいことに何も答えていないことがもっとすごい。
この時点で、前川氏をよく知る人の証言や、出会い系バーで出会って実際に相談に乗ってもらって感謝している人の証言(買春関係は否定)が、ほかのメディアで明らかにされているのに、その事実を一切言及せず、ただ、出会い系バーに通っていた事実のみを載せただけだと、言っているだけで、その理由を「公共の関心事」と言ってのけるところがすごい。
4.「広告」の関心事
6月3日の記事では、読者が聞きたかったこと、
- 前川氏が買春していた証拠・証言があるのか
- 前川氏が出入りしていたという情報を入手した経緯
- 読売新聞内部組織「適正報道委員会」を通したのか
といった、「公共の関心事」に全く答えてなかったのに、「公共の関心事」の言葉を持ち出してあえて記名記事で出すところがすごい。
この社会部長名の記事でも答えてくれなかったので、この話はなかったことにされてしまうかと思っていたが、3つ目の「適正報道委員会」を通したかどうかについては、意外な形で読売新聞は「報道」してくれた。それは、
週刊文春6月29日号(6月22日発売)の広告として、
読売「内部文書」スッパ抜き!
「安倍の個人広報紙か」──本誌が入手した文書には出会い系バー報道への読者の怒りが大量に列記されていた。読者の意見2000件の大半が批判、解約言及が300件。しかも記事は社内チェック機関を通していなかったのだ──。週刊文春6月29日号中吊り広告より引用
を文字消しもせずに読売新聞の広告面に載せたのである。
「適正報道委員会」を通してなかったという、読売新聞にとっては不利な情報が載っている広告をそのまま掲載して読者に知らせるところがすごい。
また、広告面もフルに使って「報道」する読売新聞の姿勢もすごい。
5.まだまだ続く記事のすごさ
ここまでくると、私は出会い系バーの記事の意味について、二つの仮定にたどり着いた。それは、出会い系バーの記事が、
- 「コボちゃん」からの流れのパロディ記事
- ある広告主によって出稿・掲載された広告
だったのではないか。
一つ目については、この記事の掲載場所があえて一番人気の「コボちゃん」の隣であるところから、これはパロディであるという、読売新聞のメッセージだったのではないか。私には難しすぎて理解できないが、実はあの記事は
コボちゃんの5コマ目
という解釈もひょっとしたらできるのではないか。私には難しすぎて理解できないが。
二つ目については、(週刊文春の広告で見せたような)依頼主の広告面もフルに使って自社のことを報道するのとは反対に、記事と広告が混然一体となったハイブリット新聞として、あの記事自体が、(私には全く見当がつかない)依頼主によって書かされた「広告」だったのではないか。私には全く依頼主の見当がつかないが。
これはあくまでありえない仮定である。
ただ、こういう想像をさせる読売新聞はやっぱりすごいなあ。
なお、読売新聞では、「紙面審査委員会」で外部の有識者を招き、年2回、「報道と紙面を考える」懇談会を開いている。毎年4月と10月に開かれるので、次回の10月に、この「出会い系バー」報道が取り上げられるか、今から楽しみである。
(参考サイト:読売新聞へようこそ 会社案内>グループ案内>報道姿勢)。
[2018/05/15追記:その後、2017年10月と2018年4月に「報道と紙面を考える」懇談会が開かれ、読売新聞にも内容が1面にわたって掲載されたが、残念ながら、「出会い系バー」報道の件は取り上げられていなかった。これには、思わず、「読売新聞は、外部の有識者に対し失礼ではないか」。まさか、この件で有識者の方からも質問もしていなかったとしたら、その時点で有識者失格だと思えるので、まさかとは思いますが、そんな事は無いんだろうな(棒読み)。]
まとめ
- 読売新聞の「出会い系バー」報道は、ずば抜けてすごい
- 社会部長のフォロー記事も、すごい
- 読売新聞は広告もすごい
- 10月に行われる「報道と紙面を考える」懇談会が今から楽しみ
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