この記事のこの場所に「この記事には広告が含まれます」という一文が目立つように書いてあります(ここはそういうところですよ?)
《以上広告アナウンスでした。以下本文》
2019年11月5日、テレビ東京のニュース番組で、財務省が不開示としていた「森友文書」をテレビ東京が入手したと報道された。
テレ東NEWS、”【独自】 財務省「森友文書」5,633枚入手”、2019/11/05。
https://www.youtube.com/watch?v=ookaQa_WrH4(参照2019-11-05)
財務省は、いったん不開示決定したものを、のちに総務省の審査会に違法と判断されたこともあって、開示したらしい。ようやくと言っていいだろう。
残念ながら、現時点でその公開された文書は、財務省のホームページ等のネット上では確認できていない。また、報道されている限りでは黒塗りが多く、財務省がしぶしぶ出した経緯や、平気で改ざんをする経歴を持つ組織であることからして、今回の文書が、問題の解明に役に立つかは不明だ。
だが、今回のニュースから得られる情報をまとめ、分かったことを整理することで、考察を試みたい。
[公開:2019/11/06]
テレ東NEWS ”【独自】 財務省「森友文書」5,633枚入手”(2019/11/05)の内容
(要旨)
・財務省が「不開示」としていた行政文書およそ5600枚をテレビ東京が入手
・入手したのは、国有地売却をめぐる国会答弁のために政府が用意した想定問答や財務省の近畿財務局が財務省本省や国土交通省の大阪航空局との間でやり取りした文書など
・立憲民主党の川内博史議員の情報公開請求に対し、財務省が「不開示」とすることを決定していたもの
・ことし6月、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」が、財務省の判断は「違法」であり、「決定を取り消すべきだ」としたことから、開示に踏み切ったとみられる
・しかし、応接録や交渉記録は、日付や一部の担当者の名前を除き、その多くが黒塗り
・文書改ざんの引き金になったとされる安倍総理の答弁のために財務省が作成した想定問答には、「審議会において了承を得たもので、誰が小学校の校長であるかは関係ない」などと書かれている
[同上の動画ページのテキスト部分からの筆者による抜粋と要約(一部原文から表現を変えています]
https://www.youtube.com/watch?v=ookaQa_WrH4(参照2019-11-05)
放送中に写った文書の内容
[上記スクリーンショットの文字部分書き出し]
日時:平成26年12月8日(月)15:45~(架電)
先方:理財局国有財産企画課 中村課長
当方:小池管財部長
(感想)
冒頭に述べたとおり、これらの文書はまだ、ネット上には公開されていないようだ。財務省のホームページ、問題を追及する政党や議員のホームページやSNSをざっと見たりしたが、この文書について言及しているものは、見つけられなかった。(2019/11/05時点での個人的な確認)。
そのため、得られる情報は少なく、現時点では、テレ東NEWSの1分41秒の動画からわかることを考察するしかない。(まずは、ニュースの動画をYouTubeで公式で見られるようにしてくれているテレビ東京に感謝したい。テレビ東京もまた、森友問題を語る上での重要な役割を果たしてきたマスコミ社であることは、この問題を追ってきたものであれば、言うまでもないだろう。)
動画からは、11月1日(金)に川内議員のコメントを取っていることが分かるので、先週末までには開示されていたことが分かる。
次に、応接録や交渉記録だが、ニュースでは、「多くが黒塗り」とされており、得られる情報は少なそうだ。
さらに、ニュースでは、
「財務省の近畿財務局が財務省本省や国土交通省の大阪航空局との間でやり取りした文書」
と言っており、主語が「財務省の近畿財務局」であるため、財務省本省の記録については全く言及していないことになる。
つまり、今回、総務省の審査会に「不開示は違反」と言われてようやく財務省は開示したが、応接録等で出してきたのは近畿財務局の文書だけで、
財務省本省の文書は、黒塗りどころか、存在すら認めていない
ことになる。
この期に及んで、財務省本省は、隠ぺいをしているのは間違いないだろう。それだけのことをしてきた経歴を持つ組織なのだ。
また、近畿財務局の応接録や交渉記録は、改ざんが判明したあとに、2018年5月に(不十分ながら)公開している。[当ブログでも「森友問題」財務省交渉記録開示についてのまとめと考察(2018/05/23)ほか以降の記事で言及・考察済み]。今回の公開文書が、その去年に公開済みの文書と重なっていないかが疑問だったが、ニュース動画を見た限りでは、新文書であることが確認できた。
上記で「放送中に写った文書の内容」で文字が読み取れる文書のスクリーンショットを載せたが、その日時は、去年公開された応接録には含まれておらず、初公開であることが分かるものだった。
上記の、平成26年12月8日について、当ブログで去年公開された応接録から本省理財局の係わりの時系列をまとめたものから、今回の日付前後を抜粋すると、
応接記録に残る「森友問題」への本省理財局の関わりの時系列まとめ(抜粋)
当ブログ記事「森友問題」応接記録で隠しきれなかった本省理財局の関わり具合のまとめ(2018/11/21)(参照2019-11-06)からの抜粋
(略)
2014/12/03 近畿財務局「本省審理室からの指示(12月3日、「本地の特殊性」説明)」《応接録》
2015/01/16 「理財局国有財産審理室より公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」《2018/03/14追加の改ざん報告》
(略)
この時系列の元で、今回の文字が読めた内容を照らし合わせれば、本省審理室から指示を受けて動いていた件の進捗状況を、近畿財務局の上司が、本省の企画課の中村課長(当時)に報告しているかのようにも見える。中村課長が、この件の担当者であったことは、その可能性が濃厚であることを既に指摘済みだが[当ブログ記事「森友問題」元総務課長の考察(2018/08/06)]、今回の件で、補強されたと言っていいだろう。さらには、その翌年の「公租公課相当額の取扱いについて」についても、中村氏が主要な役割を果たしていた可能性が高くなり、「その後の検査」でこの件を取り上げなかった会計検査院の怠慢さが明白になったと言っていいだろう。[当ブログ記事「森友問題」会計検査院報告「その後の検査について」(2018/11/22)から抜け落ちた「公租公課」について]
テレビ東京が、あえて上記の部分を読めるように写したのは意図的なのかどうかわからないが、この一部だけでもある程度のことが分かる。
ただ、動画から読み取れるのはこの程度であり、しかも、現物はほとんど黒塗りだということだ。
現物の更なる公開と新たな情報に期待したい。
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