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《以上広告アナウンスでした。以下本文》
2018年2月15日。宮本岳志衆院議員、辰巳孝太郎参院議員会見。
辰巳孝太郎議員「ネット等で公開されているいわゆるデータはすべて入手したということになると思います」
日本共産党、”国・森友「口裏合わせ」”、2018/02/15 に公開。
https://www.youtube.com/watch?v=9WAC8LZHzlo
(参照2018-02-17)
2016年3月15日。3月16日。3月30日。5月18日。
この4つの音声データは、今回の「共産党提供」による全編公開により、すべて全編公開されたことになった。
ここに至るまで、「一部公開」→「全編公開」が何度か繰り返されたが、奇妙なことに、先行スクープとして「一部公開」したメディアと、全編公開したメディアは異なっていた。
ここでは、音声データの位置づけと、音声データの初出を、改めて振り返ることで、そのことが意味するところの考察を試みたい。
[公開:2018/02/17、更新:2018/02/18]
1.4つの音声データの時系列
時系列の整理(抜粋)
2016/03/15「財務省本省へ陳情」(録音データ)
籠池夫妻・財務省(田村ほか)
↓
2016/03/16「反省しているの?」「僕ですか?」(録音データ)
籠池夫妻・財務省近畿財務局(池田)・国交省大阪航空局
↓
2016/03/24「S井・池田の価格交渉」
2016/03/24「池田→財務局法務担当者に相談」(法律相談)
↓
2016/03/30「3mより下にゴミがストーリー」口裏合わせ(録音データ)
籠池夫妻・S井弁護士・近畿財務局池田・大阪航空局・F原工業・Kアラ
↓
2016/04/01「近畿財務局池田からのありがとうメール」
近畿財務局池田→S井・F原工業・Kアラ
↓
2016/04/22「価格が折り合えば、損害賠償請求はしない」(法律相談)
S井→財務局に提案があったことを記載
↓
2016/05/18「近財池田との値引き交渉」(録音データ)
籠池夫妻・近畿財務局池田・三好・in塚本幼稚園
↓
2016/05/19「廃棄物は可能な限り列挙を」(相談記録)
法務担当者→池田にアドバイス
↓
2016/06/06 S井→籠池「内緒だが局長の移動」あるからメール
↓
2016/06/20売買契約
[過去の考察より、2018/02/17更新。]
(感想)
これでようやく日付が特定された。
当初は、3/16から3/30の内容の時系列も分からず、勘違いしていたものもあったが、これで並びは確定した。
ネーミングについては、出てきたときのイメージで付けたので、今から見れば、ちょっと外れたネーミングだと、反省する点もあるが、今更なので、そのままに。
2.4つの音声データの初出と全編公開
・2016/03/15「財務省本省へ陳情」(録音データ)
データ初出:2017/04/25報道ステーション(テレビ朝日)(菅野完提供)
全編公開:2017/05/06ハーバー・ビジネス・オンライン<素材提供/菅野完>
・2016/03/16「反省しているの?」「僕ですか?」(録音データ)
データ初出(一部分のみ):2017/08/01みんなのニュース 報道ランナー(関西テレビ)
一部公開:2018/12/05辰巳議員国会質問(参議院財政金融委員会)
全編公開:2018/02/01「辰巳議員、宮本岳志議員会見」(日本共産党提供)
・2016/03/30「3mより下にゴミがストーリー」口裏合わせ(録音データ)
データ初出(一部分のみ):2017/08/01みんなのニュース 報道ランナー(関西テレビ)
メモ初出:2017/08/03報道ステーション(テレビ朝日)
一部公開:2017/09/11みんなのニュース 報道ランナー(関西テレビ)
一部公開:2017/11/28宮本岳志議員国会質問(衆議院予算委員会)
一部公開:2017/11/30報道ステーション(テレビ朝日)
詳細公開:2017/12/20東京新聞朝刊(菅野完提供)
全編公開:2018/02/15「辰巳議員、宮本岳志議員会見」(日本共産党提供)
・2016/05/18「近財池田との値引き交渉」(録音データ)
データ初出:2017/08/01みんなのニュース 報道ランナー(関西テレビ)
全編公開:2017/08/23ハーバー・ビジネス・オンライン<取材・文/菅野完 取材協力/赤澤竜也>
3.報道ランナー(関西テレビ)のスクープの評価
以上の時系列を見たとき、違和感を感じるのが、
報道ランナー(関西テレビ)
だ。
報道当初は、音声データという動かぬ証拠を発掘したスクープだとして、賞賛を浴びた。
初めのスクープは、2017/08/01に行われた。籠池夫妻が大阪拘置所に詐欺容疑で拘束された翌日である。
この時の内容は、2016/05/18の音声データが中心で、同時に、(後日、特定できたことだが)2016/03/16と2016/03/30の音声データの一部分も紹介していた。
2016/05/18の音声データは、関西テレビが報道してから22日後に、菅野氏の発掘により全編が公開され、関西テレビが報道していない部分が明らかになった。
続いて、2017/09/11に、関西テレビは2016/03/30の音声データをより詳しく報道した。さらにその1週間後には、その経緯を詳しく伝えた。
2016/03/30の音声データは、それまでのパターンと比べれば、全編公開までに時間が掛かった。共産党議員の国会質問、報道ステーション、東京新聞、共産党議員記者会見、といろいろな経過をたどり、関西テレビの報道から全編公開までに約5ヶ月かかった。
そうして全編公開されたことにより、関西テレビが「報道したこと」ではなく
関西テレビが報道しなかったこと
の疑問点が浮かび上がってきた。
4.報道ランナー(関西テレビ)のスクープの疑問点
第1の疑問点は、
2016/05/18の音声データをなぜ初めにピックアップしたのか
という点だ。
この音声自体は、籠池夫妻による「グーンと下げなあ、いかんよ」「ダイオキシンが出た」などのインパクトのある発言に注目されがちだ。
だが今から振り返ると、この時点で、「口裏合わせのストーリー」は進行中で、国交省大阪航空局による8億円値引きの算定はすでに終わっており、後は不動産鑑定士の鑑定待ちだった。
実際問題として、2016/05/18の交渉が価格に与えた影響はほとんどない。
国側の職員の「ゼロに近い形で」との言質を取ったところは、不正の証拠として評価できるが、これも、2016/03/30の口裏合わせの音声データが出た後だったら、補足証拠に過ぎず、それほど話題にならなかった。
悪意のある言い方をすれば、関西テレビは、2016/05/18の音声データを先に報道することで、この報道を高く売ることができたのである。
そして、第2の疑問点は、
学園側の代理弁護士への言及が少ない不自然さ
だ。
2016/05/18の音声データの報道では、籠池夫妻が直接交渉していることにより、証人喚問での「弁護士に任せていた」証言が否定される印象を与えたが、先に述べたように、この交渉自体が価格に影響は与えた可能性は少ない。全編公開されてから分かったことだが、籠池夫妻は「弁護士から報告がない」と言っていたように、交渉の進捗具合が不安で、国の職員に一方的に文句を言っているだけで、交渉と呼べるものではなかった。関西テレビの報道ではこういった内容に触れていなかった。
また、2017/09/18に放送された関西テレビ「報道ランナー」の特集では、担当記者が、「本物か裏取り取材」として、「国」、「工事関係者」に取材しており、また、コメントで「捜査関係者にも確認した」と言っていた。
あと本物かどうかを知っている人は、籠池夫妻と弁護士だけだが、前者は拘置所にいて取材不可能。
そうなると残るは「弁護士」だが、ニュースでは弁護士に「本物かどうか確認した」かどうかはまったく触れなかった。
さらに、2016/03/30の音声データでは、全編公開によって、学園側の代理弁護士が「一億五千万より低い金額で買いたい」と言っていることが明らかになったが、この重要な証言を、関西テレビは取り上げてこなかった。
悪意のある言い方をすれば、関西テレビが、何かの条件を受け入れて、このスクープを報道したのではないかと疑われても、仕方がない状況証拠がゼロではないのである。
5.全編公開されたことで解消した疑問点
だが、そうはいっても、いくら報道内容をコントロールする条件と引き換えに、当事者がデータを報道機関に渡すことの合理性があるのか、と言われれば、疑問がぬぐい切れなかった。
これまでの私の予測では、2016年春に学園側と契約した弁護士が、紹介を仲立ちした2015年の有益費の業者から、ゴミを埋め戻した状況を聞いて、このゴミを利用するストーリーを描いたと、していた。実際、そういった実績がある弁護士だと思っていた。
そのため、いくら、2015年のゴミ埋め戻しには直接かかわっていないとはいえ、ストーリーを作った当事者が、音声データを報道機関に提供するだろうか、という疑いがぬぐえなかった。
だが、2016/03/16の音声データが全編公開され、辰巳議員の解説が加わったことで、この時点で、国側の職員が「ストーリー」を描いていたことが分かった。
最近出た「相談記録」で2015年12月の時点で国側が事前調整を図っていた事実も含めて、この「ストーリー」は事前に国がひな型を作っていた可能性すら出てきた。
「ストーリー」を描いたのが弁護士ではなく国側だとしたら、弁護士側が音声データを提供する疑問点は、一挙に解消する。
弁護士側は、不正の枠組みを作ったのではなく、依頼者の利益を最大化するために行動した、ということなのであれば、自分の都合のいいように音声データを報道機関に渡す行為は不自然ではない。
一方で、この音声データをすべて公開することが、国側の不利益であることも認識しているのなら、公開に際し、自ら名乗り出ることの不利益も、当然わかっている。
そうした
- ストーリーを作ったのは私ではない
- ただし、国側に不利益なことは言えない
のバランスの上の結果が、関西テレビでの不自然な報道であるのなら、納得がいく。
また逆に、関西テレビの報道は、弁護士が関連する以外の点に限れば、問題のポイントをついたところを抜き出して、うまく報道できていた。十分な知識を持ったうえでの報道だと思えるものだった。
これも、記者の判断ではなく、情報提供者のアドバイスだったのなら、納得がいく。
以上のように、関西テレビの情報提供者が誰だかを想定すると、不自然に思えたところがかなりの点で納得できる。
以上が、ネットで確認できる情報のみで追及した私の考察である。
ハーバー・ビジネス・オンライン、<素材提供/菅野完>、”【音声データ】籠池泰典氏と財務省のやり取り録音、音声データ及び文字起こしデータを全編完全公開!”、2017年05月06日。
https://hbol.jp/138930
(参照2018-02-17)ハーバー・ビジネス・オンライン、<取材・文/菅野完 取材協力/赤澤竜也>、”【森友学園】佐川国税庁長官の国会答弁を覆す音声データ完全公開!”、2017年08月23日。https://hbol.jp/149569
(参照2018-02-17)関西テレビ、「みんなのニュース 報道ランナー」、”徹底ツイセキ/森友学園問題”。
https://www.ktv.jp/runner/special/
(参照2018-02-17)国会議事録検索システム、”第195回国会参議院財政金融委員会議録 第2号”、平成29年12月05日開会。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/195/0060/19512050060002.pdf
(参照2018-02-17)国会議事録検索システム、”第195回国会衆議院予算委員会議録 第3号”、平成29年11月28日開会。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/195/0018/19511280018003.pdf
(参照2018-02-17)日本共産党、「財務省は昭恵氏関与を認識」、”辰巳議員、宮本岳志議員会見 森友学園の土地売却問題について 安倍昭恵氏の証人喚問要求 ”、2018/02/01 に公開。
https://www.youtube.com/watch?v=SXSRAfJU0TE
(参照2018-02-17)日本共産党、”国・森友「口裏合わせ」”、2018/02/15 に公開。
https://www.youtube.com/watch?v=9WAC8LZHzlo
(参照2018-02-17)東京新聞(TOKYO Web)。”「森友」協議 音声データ詳報”。2017年12月20日 朝刊。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017122002000124.html
(参照2018-02-17)IWJ、”【2/7(水)17:30開始】「昭恵夫人から電話があった」森友学園と近畿財務局の新たな録音データを公開! 岩上安身による日本共産党・辰巳孝太郎参議院議員インタビュー!”、2/7(水)17:30開始。
https://youtu.be/0X6j_PBO0Rs
(参照2018-02-08、2018-02-17時点で再生不可)。IWJで視聴可能(有料。2018-02-17現在)→https://iwj.co.jp/wj/open/archives/411646
過去の情報の要点整理と考察はこちら→
(番外編)時系列の要点整理と考察(その1)
(番外編)時系列の要点整理と考察(その2)
(番外編)時系列の要点整理と考察(その3)
「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/02/01)
「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/02/02)
「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/02/05)
「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/02/07)
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