「森友問題」で今週分かったことのまとめと考察(2019/05/29~31)

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《以上広告アナウンスでした。以下本文》

架空小説「仮名手本森友学園」

2019年5月末の週に、森友問題に関連する裁判についての報道が連日行われた。

一つは、木村真・豊中市議らが起こした、情報公開の黒塗りの損害賠償の判決。

もう一つは、籠池夫妻被告による補助金詐欺事件裁判の公判での証言。

これらの、関連する点と混同しやすい点を、まとめ、整理したい。

2019/05/29(水)籠池夫妻補助金詐欺裁判第二回公判証言

証人尋問

大阪府私学課総括主査
・資金計画に問題があると認識
・元大阪府議会議員から総務部長を通して私学課長に要請
・コンサルタント会社が間に入ってから私学課がほしい資料が適切に出るように
・「国有地の件は平成26年度中に決めたいというのが近畿財務局の意向だと、やり取りの中で感じた」

校舎の木造化に対する補助金を出した社団法人の担当者
・籠池夫妻とは一度も話したことがなく会ったこともない

籠池氏 法廷で元特捜検事と対峙。弁護士は「そんなに近畿財務局のこと聞かれるの嫌なんですかね?」

相澤冬樹、”同上”、5/29(水) 18:30。https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190529-00127885/(参照2019-06-02)

2019/05/30(木)不開示損害賠償請求裁判地裁判決

判決要旨

主文
1 被告は、原告に対し、3万3000円及びこれに対する平成28年9月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを10分し、その7を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

裁判所の判断
1 本件売買金額等を不開示としたことは、国家賠償法上違法
2 契約条項の一部を不開示としたことについて、不開示情報には該当しないという見解も十分あり得る。が不開示情報に該当するという見解も十分あり得るところであって、近畿財務局長が不開示としたことは国家賠償法上違反であるとは認められない。
これに対し、値引きの根拠となるごみが存在しないという原告の主張は、証拠(乙23~26)によれば、本件処分時、正確な量は分からないものの相当量のごみが存在したことは認められるのであるから、近畿財務局局長が漫然と不開示にしたと評価することはできない。

森友への国有地売却額不開示、国に賠償命じる判決 地裁

朝日新聞デジタル、米田優人、”同上”、2019年5月30日15時15分。https://www.asahi.com/articles/ASM5N52GPM5NPTIL016.html(会員限定記事、参照2019-06-02)

裁判所がメディア向けに作成し配布した判決要旨です。

KOBEウォッチTV@KobeWatch、”同上”、23:39 – 2019年5月29日。
https://twitter.com/KobeWatch/status/1133986369582141441(参照2019-06-02)

2019/05/31(金)籠池夫妻補助金詐欺裁判第三回公判証言

証人尋問

設計会社の経営者
・籠池夫妻から補助金を「多めに取っといて」「ぼったくって」と言われました
・22億円の工費の絵を描いたのは自分です。現実にあり得る最大限の見積もりで、うそをでっちあげたわけではありません
・2年前の特捜部の取り調べに対し、補助金について籠池夫妻に説明したが「たぶん理解はされていないと思います」と供述
・自分が逮捕されることもあり得ると検事に告げられ、籠池夫妻が起訴された日に、不起訴になったと知らされた

籠池夫妻 法廷闘争記
焦点は校舎の工費補助金 水増しの責任巡り異例の7時間尋問

日刊ゲンダイDIGITAL、相澤冬樹、”同上”、公開日:2019/06/02 06:00
 更新日:2019/06/02 06:00。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255179(参照2019-06-02)

[上記の内容は、引用からの再引用で、一部表現を変えているところがあります。]

(感想)

公開された裁判の場で、様々な情報が明らかになることは、非常に意義深いことだ。特に、公文書を破棄・改ざんしてまで、真実を隠そうとしたこの問題では、なおのこと、裁判で公開・記録されることが重要だ。

5/29の公判での証言では、大阪府私学課の職員が証言に立っているが、大阪府は森友学園の認可を正式受理する(2014年8月29日)までは、記録を残していない(と言っている)だけに、重要な証言だ。特に、「平成26年度中に決めたいというのが近畿財務局の意向だと、やり取りの中で感じた」という証言は、正式受理前の(不十分だが)近畿財務局の応接録と一致する点が多い。

「森友問題」で今日公表された大阪府の文書のまとめと考察(2018/05/07)

https://webstarterzy.t-hajime.com/kanadehonmoritomo-oosakafushigakuka-20180507/(参照2019-06-02)

5/30の判決は、金額を非公開にしたことが違法であると認定されたものの、ごみに関する条項を非公開にしたことについては違反とは認められなかった。これをもって、「裁判所がゴミがあることを認めた」と主張する人がいるようだが、よくよく読むと、

誰が:近畿財務局局長が
いつ:本件処分時に
何によって:証拠(乙23~26)によれば
何をもって:(正確な量はわからないものの)大量のごみがあることをもって
どうした:不開示情報だと判断した

ことについて違反であったと認めることができない、と裁判所が判断している形になっている。

「証拠(乙23~26)」の内容が確認できないので、はっきりしたことは分からないが、裁判所は少なくとも「正確な分量」は分からないと認定しており、会計検査院との報告と一致する。さらに、今回の裁判では、「(今年に入ってから国交省がようやく出してきた)試掘調査報告書の写真が使い回しされていて値引きの根拠が偽装された疑惑」の指摘等が反映されているとは思えないので、裁判所は「局長がその当時の資料で不開示判断したのは仕方ない」という結論でお茶を濁すのではなく、最新の情報を踏まえて、ゴミの判断を求めたいところだ。

5/31の公判の証言では、設計会社の経営者が証言に立っているが、報道でインタビューに応じた記事を見かけない人物なので、裁判で公開されることは非常に重要だ。

この設計会社については、8億円値引きの枠組みを理解する上での重要な会議、

・2015/09/04打合せ
・2016/03月中旬から4月にかけての「ごみストーリー口裏合わせ」

の両方に絡んでいるだけに、キーマンの一人と言っていいだろう。

自ら不正を認識していながら補助金の手続きを進めたと認めていながら、逮捕も起訴もされなかったり、国交省が国会から資料を要求された際に国交省への資料提供を遅延したとしか思えない行為など、こういった不自然な点について、裁判で真実を語って欲しい人物である。

森友問題は終わっていない。

更なる情報に期待したい。

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