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《以上広告アナウンスでした。以下本文》
はじめに断っておくが、私は、森友問題についての関係者でもなければ、法律や土地取引等に関連する何らかの専門家でもなく、仕事にしているものでもない。単に、森友問題にはまって、与えられた情報から推測を楽しむ素人だ。
森友問題では、「登場人物全員ウソつき」とでも言える状況のため、それぞれの発言や文書をうのみにすることはできない。そのため、内容の一つ一つに対して、自分の理解度と相手の信頼度を計りながら、真偽を判断する必要がある。
自分の理解度を上げることがまず第一であるため、必要に迫られて、専門家でもないのに、いろいろなことを素人レベルで知っていくことになった。
その一つが、「公租公課」という言葉だ。おそらく、森友問題に係わらなければ、一生、目にせずに、口にしたり文章に使ったりしなかった言葉だろう。
その「公租公課」が、会計検査院の追加報告から抜け落ちていたことに気付いたので、「素人」なりに理解するために整理して、取り上げなかったことの問題を指摘したい。
[公開:2018/12/29]
1.会計検査院報告(2017/11/22)における「公租公課」
森友問題における「公租公課」については、まず、1年前の、初めの会計検査報告で取り上げられていた。
近畿財務局は、不動産鑑定評価に基づく年間貸付料の約24%に当たる公租公課相当額8,871,294円を控除して貸付料予定価格を決定していた。
会計検査院、”学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について”、平成29年11月22日報告。http://report.jbaudit.go.jp/org/h29/YOUSEI1/2017-h29-Y1017-0.htm#1017_2_1_4_1
(参照2018-12-29)
ここで検査されているのは、土地の貸付料に、公租公課相当額を控除して安くしたことが、適正かどうかだったかだ。
近畿財務局は、特例処理に伴い、社会福祉法人等を対象にした「社福通達」を準用したが、
公租公課相当額が控除されて貸付料予定価格が低額となることは考慮していなかったとしており、承認申請に係る決裁文書等においても記載されていなかった。
同上
また、財務本省は、
公租公課相当額が控除されて貸付料予定価格が低額となることについて把握できなかったとしており、財務本省の承認に係る決裁文書等においても記載されていなかった。
同上
つまり、「公租公課」で賃料が安くなったことについては、近畿財務局は「考慮していなかった」、財務省本省は「把握できなかった」、として、いずれも決裁文書等(注:正確には「改ざんされた決裁文書等」)には記載されていなかった。
このことに対して検査院は、
いずれも慎重な検討を欠いていたと認められる。
同上
と、指摘している。
2.メモ「公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」について
会計検査院の報告後、財務省の改ざんが発覚する。2018年3月12日に財務省は改ざんを認め、改ざん前と改ざん後の対照表を発表した。
ところがその二日後、報告した改ざん以外にも、決裁文書から削除されているものがあることが追加で報告された。それが、
メモ「公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」
財務省、平成30年3月14日付け資料(PDF:198KB)(参照2018-12-29)
だ。これが決裁された文書から抜き取られたのは、平成27年6月で、一連の改ざん行為よりも2年ほど前に行われていた。
その文書は、右上に、「理財局国有財産審理室より」と手書きで書かれていて、その下に「【メモ】H27.01.16」とあり、内容はタイトル通りで、
貸付料から公租公課相当額を控除することについては、上記特例承認事項に含まれるものではないため、検査院等から根拠等を問われることも想定し、以下、考え方を整理するものである。
同上
そして文書の最後には、「(以下、業務課見解)」とあり、理財局国有財産業務課の見解として「(控除について特段の規定はないものの)否定する理由はない」と述べられている。
この件については、前日の13日にNHKニュースによって報じられ、近畿財務局が籠池氏から情報公開請求された際に、本省と相談している内容を削除したとみられている。(NHKのweb記事は一定期間過ぎると削除されるため、当時の当ブログ記事「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/13)を参考)。
3.追加報告「その後の検査において」(2018/11/22)からの抜け落ち
以上の時系列を見れば、2017年の会計検査の際は、「公租公課」について検査した上で近畿財務局と財務本省に対して「慎重な検討を欠いていた」と判断を下したが、改ざん発覚後に出てきた文書では、財務省本省が検討したうえで結論を出していたことが分かった。
そうなると、2017年の会計検査の際に、「考慮していなかった」近畿財務局と、「把握していなかった」財務本省は、虚偽の答えをしていたことになる。
ところが、追加の検査院報告では、この件に一切触れていない。
会計検査院は、嘘をつかれた立場であるのに、虚偽の報告をした近畿財務局と財務本省に対して、この件では処分の検討すらしていない。
追加報告の目的が、明らかになった改ざん等の事態が2017年の報告にどのような影響を与えたかを検査すること、であるのを考えれば、上で示したように、虚偽の報告をしていたのが明らかになったのであれば、再検査して処分の検討をしなければならない。それなのに、追加報告では全く無視している。
これはどういうことなのか。
4.追加報告「その後の検査において」(2018/11/22)の結論ありき
追加報告ついては、当ブログで要旨のまとめと考察を2記事にわたって行っている。(「森友問題」会計検査院報告の「その後の検査について」(2018/11/22)のまとめと考察(前半)―要点の整理、「森友問題」会計検査院報告の「その後の検査について」(2018/11/22)のまとめと考察(後半)―内容の考察)。
その時の考察の結果は、
「新たに処分を下さない」という結論ありき
というものだった。この結論を導くために、会計検査院は、改ざん行為について
- 指示した責任を理財局長一人に押し付ける
- ただ、違反を認めながらも「既に退職している」という理由で追加の処分を下さない
- 実行した責任を近畿財務局に押し付ける
- ただ、違反を認めながらも「既に処分を受けている」という理由と「そもそも理財局からの指示」という理由で、追加の処分を下さない
という方針を取っている。[肩書は当時。以下同]
ただこれでは、「今も在職している」「実際に指示を出したり、改ざんを実行した本省理財局の職員」に、処分を下さない理由はつかない。つまり、当時の総務課長・国有財産企画課長・国有財産審理室長に追加の処分を下さない理由はない。
しかし実際には、実行犯ともいえる本省の課長クラスの3人に対しては、今回の報告で、処分の検討どころか、処分の対象にすることを避けている。
この方針を守るために、報告では、「経緯において本省の係わりに言及しておきながら結論では無視する」と言った不自然さが残ることになる。
5.「公租公課」を追加報告で取り上げられないのはなぜか?
今回取り上げた、「公租公課」の件も、同じ流れで行われている。
この件が、他の一連の改ざんと異なるのは、時期が2年ほど前だったことと、近畿財務局の「単独犯行」(ということになっている)ことである。
だが、「公租公課」メモは、作成が理財局国有財産審理室で、しかも、業務課にも確認している。ということは、この件では本省で課を横断して検討しており、本省でも検討した経緯の文書が残っていないとおかしいが、2017年の検査院報告では、本省は「把握していなかった」と答えている。このことは、この時点で本省が状況を理解し、近畿財務局と口裏を合わせて検査院の検査に応対していることになり、近畿財務局のメモ引抜きを、少なくとも2017年の時点で知っていたのは間違いないだろう。
更に言うと、その当時の引抜きが近畿財務局の「単独犯行」ではなく、本省も関与していた疑いさえある。
ここで注目したいのは、当時の近畿財務局の総務部長だ。
この総務部長は、2014/07/01~2015/06/30の期間、在任していて、前職は、国有財産業務課長だった。「本省相談メモ」では2014/05/23に業務課長が了としているが、その当人である。つまり、森友学園との交渉経緯を知る人物が本省から近畿財務局の総務部長として異動してきたのである。そして近畿財務局で賃貸契約が結ばれ、籠池氏が情報公開請求をし、「公租公課」メモの抜き取りが行われたのが2015年6月で、総務部長は6/30に異動している。(当ブログ記事「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/09/21))
行政文書の管理と公開請求の窓口が総務部であることを考えれば、この総務部長が何らかのかかわりを持っていたと考えるのが、当然である。
ただし、この人物は、2018年7月17日付で、四国理財局長を最後に辞職している[財務省ホームページ人事異動(平成30年7月17日) (PDF:159KB)]ため、当時の理財局長と同様に処分の対象外になってしまっている。処分の対象ではないだけに、正直に語ってもらうことを期待したい。
ここまでくれば、会計検査院が「公租公課」メモを取り上げなかった理由が見えてくる。
まず、「近畿財務局による単独犯」という説明をそのまま受けると、処分しない理由である「理財局からの指示」を否定することになり、近畿財務局職員に追加の処分をする必要が出てくる。
かといって、この件も本省からの指示だったことを認めると、理財局長に責任を押し付けることもできなくなる。理財局長の改ざん指示の前の出来事だからだ。そうなると、局長以外の理財局職員の責任を問う必要が出てくる。
どっちにしろ、新たな処分を加えなければならなくなるので、会計検査院は、この件を無視したとみられる。「取り上げなかった」というよりも、「取り上げることができなかった」というべきだろう。
以上、「公租公課」メモを会計検査院が追加報告で取り上げなかった理由を考察してみた。
会計検査院には、
- 「公租公課メモ」を追加報告で取り上げなかった理由
- メモ抜取りの経緯を検査したのか
- 改ざん発覚後の検査で、本省での公租公課の検討経緯を聞き取りしているのか(法律相談等の確認はしたのか)
と言った点の説明が求められるだろう。
会計検査院は検査しているように見えて、その検査ぶりを国民の目から検査されている。
このままでは、会計検査院は不適切な組織との烙印を押されることを自覚すべきだ。
更なる情報に期待したい。
過去の考察のカテゴリーはこちら→「森友問題」考察
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