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2018/06/18に、共産党により公表された、「応接録の公表についての検討メモ」とみられる文書には、次のような一文があった。
近畿財務局と理財局のやり取りについては、最高裁まで争う覚悟で非公表とするのだろう
https://www.jcp.or.jp/web_info/images/20180618_moritomo_tatsumi.pdf
(参照2018-11-21)日本共産党中央委員会、”記者会見で公開した森友関連の文書”。
http://www.jcp.or.jp/web_info/html/post-8.html
(参照2018-11-21)
財務省はいまだ、資料を隠しており、それが都合の悪いものであることを、自白しているようなものだ。
実際、財務省は、政治家の関わりだけではなく、本省理財局の関わりも消そうとしていたことが、改ざん発覚後に不十分ながらもようやく公表した応接記録により、明らかになっている。
「行政文書の改ざん」という、歴史への犯罪行為をしておきながら、財務省は、改ざん発覚後も、未だに何の反省もないようだ。
そこで今回は、不十分だが公表された記録を基にして、森友問題において、本省理財局がどのようにかかわってきたのかを、整理したい。
応接記録に残る「森友問題」への本省理財局の関わりの時系列まとめ
2013/06/28 籠池→近畿財務局「手続きの照会」《応接録》
2013/08/13 鴻池事務所→近畿財務局「借り受け対応できないか」《応接録》
2013/08/15 近畿財務局→本省審理室加藤係長「本省へ連絡」《応接録8/13》
2013/08/16 本省審理室千崎補佐→近畿財務局「審理室長まで連絡した。今後の進捗は連絡願う」《応接録8/13》
2013/08/30 国有財産審理室「近畿財務局と本省審理室で協議」《本省相談メモ2014/5/8》
2013/10/30 国有財産審理室「以降、近畿財務局と本省審理室が連携して対応」《本省相談メモ2014/05/08》
2013/11/19 本省審理室作成メモ『空港特会財産に係る取得要望について(メモ)』「具体的なスケジュール等」《応接録2014/1/9》
2014/02~3月 国有財産審理室「本件の処理について近畿財務局と本省審理室で協議」《本省相談メモ5/8》
2014/04/28 国有財産審理室「籠池理事長と(総理)夫人が現地の前で並んで移っている写真を提示」《本省相談メモ5/8》
2014/05/08 国有財産審理室「(7月中に大阪府が正式受理しない場合)実現性がないものとして入札に移行」《本省相談メモ》
2014/05/09 国有財産審理室「森友学園への議員等の来訪状況」《本省相談メモ》
2014/05/14 国有財産審理室「(豊中市と)協議したところ、同市より別途の文書等で対応することはできないとの回答」《本省相談メモ》
2014/05/23 国有財産審理室「業務課長了」「(豊中市と)協議したところ、同市より別途の文書により対応することは可能との回答」《本省相談メモ》
2014/06/17 近畿財務局→鴻池事務所「『貸付』については、財務本省にも相談した結果、『ご協力する』との結論が出ている」《応接録》
2014/08/14 国有財産統括官→訴務課・統括法務「今後、本省と処理の方向性を打合せた上で正式に相談」《応接録8/18》
2014/09/02 近畿財務局→大阪府私学課「貸付契約の書式については、現在、国の内部で検討中」《応接録》
2014/10/03 近畿財務局「(本省審理室了解済事項)」《応接録》
2014/11/07 近畿財務局→籠池「財務省と相談しながら検討を進めているところ」《応接録》
2014/12/03 近畿財務局「本省審理室からの指示(12月3日、「本地の特殊性」説明)」《応接録》
2015/01/16 「理財局国有財産審理室より公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」《2018/03/14追加の改ざん報告》
2015/01/20 国有財産管理官→局長、総務部長、管財部長、両次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「大阪航空局より情報『1/15、森友学園から国土交通省北川副大臣秘書官に副大臣への面会要請』」《応接録》
2015/01/29 平沼赳夫秘書→橋本国有財産業務課長「森友学園から『何とかならないか』」《応答記録》
2015/02/16 1係→室長、分析官、総括、訴務係「衆議院議員鳩山邦夫事務所→国会連絡室(冨永)」《応接録》
2015/03/06 配布先:管財部長、立川次長、管財総括1課長、本省審理室・国有業務課「籠池→財務局『弁護士の見解』」《応接録》
2015/03/12 配布先:管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課・審理室「立川次長『小学校新設計画をバックアップするため』」《応接録》
2015/03/13 配布先:管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課・審理室「賃料見積もり合わせ。『金額に相当の開きがある』」《応接録》
2015/04/09 配布先:管財部長、管財総括1課長、本省審理室・国有業務課「軟弱地盤の恐れが判明して鑑定評価を再度相談」《応接記録》
2015/04/14 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財総括1課長、本省審理室・国有業務課「財務局→籠池『貸付料は下がる見込み』」《応接記録》
2015/05/12 配布先:管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「副園長→統括官『コースターと暴言』」《応接記録》
2015/05/13 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「統括管理官→学園側『契約書の修正で対応』」《応接録》
2015/05/17 柳本卓治議員秘書→冨永近畿財務局局長「学園理事長が局長にあいたいと要請」《応接録》
2015/05/27 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「副園長『いや、理事長は知らないことにしておこう』」《応接録》
2015/05/27 平沼赳夫秘書→橋本国有財産業務課長「理事長は個性的な者なので、財務省の皆さんに失礼なことを言っているのでは」《応答記録》
2015/05/28 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「段取りをお願いする」《応接記録》
2015/05/29 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「契約締結」、その他「護摩焚きDVD」《応接記録》
2015/06/04 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「柳本卓治議員秘書→小池管財部長『(理事長に)柳本議員から局長に連絡があった伝えてほしい』」《応接記録》
2015/06/04 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「理事長『昨日は自民党幹事長(谷垣貞一氏)にお会いしてきた』」《応接記録》
2015/06/08 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「公正証書の取り交わし完了」《応接記録》
2015/06/22 配布先:局長、総務部長、管財部長、管財部次長、管財総括1課長、本省理財局国有財産業務課、審理室「購入方法(分割、延納)にかかる相談」《応接記録》
2015/11/10 安倍総理夫人付き谷→国有財産業務課「総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせ」《応答メモ》
2015/11/12 配布先:国有企画課長、中村総括、審査係、国有業務課長、荒瀬総括、国有審理室、近畿局「田村国有財産審理室長→官邸谷『学校施設まで対象とするのもではない』」《応接メモ》
2016/03/15 配布先:審理室内、近畿局「籠池→国有財産審理室『昨年9月4日打ち合わせ記録』」《応接メモ》
2016/04/04 (決裁参考メモ)森友事案に係る今後の対応方針について(H27.4.4)「4.本省審理室指示事項」《2018/03/19再追加の改ざん報告》
2017/01/30 配布先:審理室内、近畿局「山本いっとく市議→国有財産審理室『交渉経緯のメモは近畿財務局に』」《応接記録》
2017/02/14 統括国有財産管理官(1)→【黒塗り】「本省審理室佐藤係長に一報告済み」《応接記録》
[作成2018/11/21]
備考)
- 敬称略。
- 表現の一部に原文からの省略と変更有り。
- 財務省本省に関連する表現を赤字に。
- 各項目の末尾に、《》で引用元を表現。
- 引用の《》に日付のないものはその日の交渉記録からの引用。日付のあるものはその日付の交渉記録からの引用で、日時が近いものに関しては年を省略。
- ほとんどが、財務省が改ざん発覚後に公開した「森友学園等との交渉記録」からの引用で、文書のタイトルに「応答記録」「応接記録」「応答メモ」と書いてあるものは、そのままタイトルを引用。適当なタイトルがない場合は、「応接録」で表現。
引用はすべて、財務省ホームページ、”決裁文書に関する調査について”
https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/search_kessaibunsho.htm
にアップされているPDFファイルで、個別の引用元は以下の通り。(参照2018-11-20)《応接録》、《応答記録》、《応接記録》、《応答メモ》に関しては、
”森友学園等との交渉記録【売却まで】(ファイル容量が大きいため分割しております。)”、平成30年5月23日。
”森友学園等との交渉記録【売却後】(PDF:6532KB)”、平成30年6月4日。《本省相談メモ》に関しては、
”本省相談メモ(PDF:1560KB)”、平成30年5月23日。《2018/03/14追加の改ざん報告》に関しては、
”平成30年3月14日付け資料(PDF:198KB)”、平成30年3月14日。《2018/03/19再追加の改ざん報告》に関しては、
”平成30年3月19日付け資料(PDF:263KB)”、平成30年3月19日。
[2020/11/22追記:衆議院調査局「森友学園問題に係る財務省による文書改ざん等に関する予備的調査」が公開されたことで、新たに分かった点を以下追記。
2014/09/01 国有財産統括官→統括法務「今般、財務本省理財局より短期賃貸借(貸付期間3年)を利用した処理案を検討してもらいたいとの指示を受けました」《2014/9/5法律相談文書》
備考)法律相談文書については、2018年2月に国会へ提出されているので、新発見ではない。ただ、今回の予備的調査の資料が公開されて、個人的に初めて確認できたので追記しておく。追記以上。]
(感想)
安倍「4000ページの記録、全部読んでないでしょうけど」
ニュース解説員「読みましたよ、仕事上」
安倍「・・・」
録画してないので、正確には思い出せないが、先日の自民党総裁選でのテレビニュース番組での討論で、以上のようなやり取りがあった。
自分が文書を読む能力がないからと言って、他人も読んでいないと決めつけるのは、恥の上塗りである。(と言いながら、仕事でもないのに、今回のブログ記事を書くために1000ページ以上の応接録に目を通し直した私もどうかしているが。)
今回、財務省本省のかかわりに絞って、改めて応接記録を読み直したが、上記のように、かなり早い段階で、本省がかかわっていた断片が残っていた。
学園側が正式に取得要望書を出す(2013/09/02)前から、本省理財局の国有財産審理室がかかわっていて、近畿財務局と緊密な連携を取っていた。
それなのに、公開された資料は、ほとんどが近畿財務局作成の資料で、本省作成の資料は明らかに少ない。それでいながら、国会議員や首相夫人等のかかわりが記述された文書は、本省審理室作成のものがほとんどだった。
決裁文書改ざんでも、2018/3/12の公表から遅れて出した2種類の文書は、いずれも本省が関係していることを示すメモだった。(当ブログ記事「森友問題」「(決裁参考メモ)森友学園事案に係る今後の対応方針について(H28.4.4)」の考察(2018/08/23))
ここから分かるのは、一部の御用コメンテイターが主張する、「近畿財務局が本来書く必要のないことを書いたので、本省理財局が決裁文書から政治家等が関係する文章を削除した」という言い訳は、明確な誤りであるということだ。政治家や首相夫人の記述を主導したのは、本省審理室であり、隠ぺいを進めたのも本省であることが、不十分な応接記録からでもわかる。
冒頭に引用したように、「近畿財務局と理財局のやり取りについては、最高裁まで争う覚悟で非公表とするのだろう」というのは、財務省本省の偽らざる本音であることが、明白に示されている。
それを踏まえれば、2017/01/30に豊中市の山本いっとく議員が、本省審理室に情報開示を求めているのに、審理室が「交渉経緯のメモは近畿財務局に」と答えているのは、たらいまわしであるどころか、自らが持つ情報を隠したものとして、隠ぺい行為を主導していた証拠だと言える。
不十分だが公開された文書だけで、以上のことが分かる。その不十分な公開文書ですら読む能力のない人間に、この問題を解決することなどできないだろう。
ただ、応接録を見ていて、私も追い切れなかった点がある。それは、関わった人物の多さだ。財務省の改ざん報告で処分を受けていない人物も登場して、追うのに苦労した。特に、役職名だけでの表示は、当時誰だったが確認する必要があり、情報が足りなく感じた。
以前、2014/05/23本省相談メモで「業務課長了」とした人物が、その後近畿財務局総務部長になったことを指摘した(当ブログ記事「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/09/21))が、今回の応接記録を見直していると、応接記録の配布先として総務部長も含まれているものが何点かあり、関わっていた人物として、証言を期待したいところだ。その人物以外でも、関わっていながら口を閉ざしている人物は多く、関係者すべてに証言を求めたい。
正直言って、こうやって仕事でもないのに、手間暇かけて不十分な応接記録を読み込んでまとめる作業は、財務省本省が隠している資料を出せばすぐにわかることで、無駄な労力を使わされていると、憤りを感じる。
更なる情報を期待したい。
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