「森友問題」NHKスクープのまとめと現時点での評価(2018/09/03)

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《以上広告アナウンスでした。以下本文》

架空小説「仮名手本森友学園」

森友問題では、朝日新聞のスクープが際立っているが、他の報道機関も(一部の報道機関を除いて)、それぞれの強みを生かしたと思われるスクープニュースを出し、競い合って、森友問題で隠蔽された情報を明らかにしてきた。

NHKも、森友問題では重要なニュースをいくつか出している。

そして先日8/30、ある日刊紙に次の記事が出た。

日刊ゲンダイDIGITAL、”“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」とNHKを退職へ”、2018年8月30日。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/236473
(参照2018-09-03)

この記事は、以前、当ブログ(「森友問題」これまでのNHKスクープのまとめと考察(2018/05/18))でも取り上げた、

日刊ゲンダイDIGITAL、”森友問題スクープ記者を“左遷” NHK「官邸忖度人事」の衝撃”、2018年5月17日。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229227/
(参照2018-09-03)

の続報と言える。

以前取り上げた際には、NHKニュースによる、森友問題関連スクープ報道を、私が把握している範囲で取り上げて、列挙してまとめた。

その後、財務省が隠していた応接記録の公表、改ざんについて報告書等が出て、いくつかのNHKスクープの正しさは証明された。

ただ、森友問題は、複数の時系列と複数の立場を把握し、かつ、リアルタイムで報道を追っていないと、スクープかどうかの判断はできない。一般の人が、「朝日のスクープは知っているけど、NHKにスクープはあったっけ?」と思っていても仕方のない面もある。

そこで今回は、前回まとめたNHKスクープ時系列を基に、新たに分かった点も含めて、これまでのNHKスクープについての評価をしてみたい。

[公開:2018/09/03]

1.森友問題でのNHKスクープの時系列まとめ

2017年
07/26 「近畿財務局と森友学園 売却価格めぐる協議内容判明」
07/27 「森友学園への国有地売却 財務局が異例の分割払い提案」
2018年
01/24 「売却価格の事前調整に努める”財務局開示文書に記録”」
03/13 「文書書き換え指示か 理財局職員からのメールが存在」
03/13 「財務省 以前から不都合な文書削除か」
04/04 「財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で」
04/11 「財務省側が学園側に繰り返し口裏合わせ求めたか」

[当ブログ記事「(「森友問題」これまでのNHKスクープのまとめと考察(2018/05/18))」からの抜粋。そのブログ記事で注釈をそのまま以下引用「NHKのニュースサイトは一定期間過ぎると削除されている模様で、元のリンクが削除されていて原典に当たれなかったため、私の記憶を頼りにして、孫引きの引用サイトを参考にした。」2018-09-03参照]

2.NHKスクープの評価

2017年7月26日と翌27日の二つのNHKスクープニュース

(内容)

・2016/03/24に財務省の担当者と学園側の弁護士が価格交渉
・2016/03/30に財務省はゴミの見積もりを大阪航空局に異例の依頼
・2016/06/01に財務省は学園側に異例の分割払い提案

(評価)

2016年の3月中旬から始まって6月中旬に売買契約が成立するまでの、土地売買を巡る交渉は、この問題での重要な経緯であった。この経緯については、音声データが公開されたことによるスクープの印象が強いが、初めに音声が一部公開された関西テレビ「報道ランナー」の初出は、2017/08/01であり、NHKはそれより前に交渉過程のいくつかを報道していた。

NHK報道後の、「報道ランナー」による音声データの不自然な報道の仕方を見ると、このNHKニュース(と関係者への取材)が、音声データの関西テレビへの提供のきっかけとなった可能性がある。そういった点では、このNHKニュースのスクープが端緒となったという意味で、スクープの価値は高い。
(関西テレビ「報道ランナー」の考察については、当ブログ記事「「森友問題」音声データがすべて出てきて分かったこと(2018/02/17)」)

2018年1月24日 「売却価格の事前調整に努める”財務局開示文書に記録”」(NHK)

(内容)

・2016年12月の法律相談文書に「売却金額はできるかぎり事前調整に努める」

(評価)

「法律相談文書」については、この問題を追及する大学教授や弁護士らのグループによる請求で、「再請求されて後から見つかる」という財務省の怠慢によって後から公開されたもの。この件については、毎日新聞が先行しており、2018/01/20朝刊スクープでいち早く内容と共に紹介した。毎日新聞の内容は、2016年3月から5月の土地取引を巡る契約の近畿財務局内での法律相談で、経緯が分かる重要な内容であり、同時期の音声データの公開と共に、経緯を裏付ける重要な証拠となった。

NHKのニュースは、毎日新聞のスクープの4日後で、目立たなかった。(私も当初、見出しだけ読んだ時は、毎日新聞スクープの後追いだと思っていた)。だが、内容を読むと、2016年12月の法律相談文書を取り上げており、その時点で、売却金額を事前調整していたことが明らかになった。財務省側は、当時は10年以内の買受契約だったから、という理由で正当化したが、時期的に、総理夫人付きによる財務省への問い合わせの返答が11月12日にあり、その後、売却金額の法律相談をしているという点は、「関わっていた」という点で総理案件に直結する可能性があり、注目したい重要なニュースである。
(この件についての当時の当ブログ記事は「(番外編)時系列の要点整理と考察(その3)」)

2018年3月13日 「文書書き換え指示か 理財局職員からのメールが存在」(NHK)

(内容)

・本省の理財局の職員が文書の書き換えを担当者に指示していたことをうかがわせるメールが残されていた

(評価)

報道での時系列では、2018年3月2日朝刊に朝日新聞による「森友文書、財務省が書き換えか」があり、その10日後の3月12日に財務省が改ざん(書き換え)を認めた。このことにより、(2017年2月9日朝日新聞報道による)土地取引を巡る経緯の追及だけでなく、問題発覚後の改ざん経緯の追及という、改ざんパートの問題が新たに加わった。

3/13のNHKのニュースは、この改ざんパートの報道で、メールという物証が残っていることを明らかにしたスクープ。指示したメールは、改ざんの経緯をうかがうことのできる重要な文書である。だが、このメールについては、財務省は、捜査を理由に公開を拒否、その後、大阪地検が不起訴処分にして裁判で公開されなくなった今でも、公開を拒否しているだけに、公開を指導できないリーダーの資質が問われている。
(この件についての当時の当ブログ記事は「「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/13)」)

2018年3月13日 「財務省 以前から不都合な文書削除か」(NHK)

(内容)

・2016年6月に近畿財務局は、籠池氏から決裁文書の情報公開請求されたときに、原本から本省と相談している記録を削除

(評価)

こちらも改ざんパートの報道であるが、問題発覚以降の改ざんではなく、それ以前から改ざんしていた、という報道。前日3/12に財務省は改ざんを認め、改ざん部分を公表したが、その公表分に今回の改ざんは含まれていなかった。

3/13に財務省は新たな改ざんを追加公表したが、同日のNHKニュースは、財務省の見解も伝えており、ニュースとしての速報性と重要性があって、評価したい。
この文書自体も、近畿財務局と本省理財局が早い段階で連携していたことの証拠であり、未だに隠そうとしている「近畿財務局と理財局のやり取り」の隠しきれなかった証拠として、価値は高い。
(この件についての当時の当ブログ記事は「「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/03/13)」)

2018年4月4日 「財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で」(NHK)

(内容)

・2017年2月に財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていた

(評価)

「口裏合わせ」と言っても、森友問題では、財務省を中心にいくつも行われているので、どのことを指すかわかりにくいが、この口裏合わせは、土地取引の問題発覚後、財務省が学園側にうその依頼をしていたというもの。

財務省本省が学園側に電話して、「トラック何千台」といううその証言を依頼したという事実は、問題発覚当初から、財務省本省が(撤去が必要な)ゴミがなかったことを把握していたことになり、かつ、財務省側は学園側を共謀できる相手として見ていたことになる。その後、日テレNEWS24も別の情報源と思われる新情報を含んだ口裏合わせについての報道をするなど、きっかけになったニュースとして評価したい。
(この件についての当時の当ブログ記事は「「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/04/04)」、日テレNEWS24の口裏合わせ報道の当ブログの考察は「「森友問題」日テレNEWS24の「口裏合わせ」報道の考察(2018/04/07)」)

2018年4月11日 「財務省側が学園側に繰り返し口裏合わせ求めたか」(NHK)

(内容)

・2017年2月に財務省は「籠池前理事長が『ごみの撤去費用は1億円くらい』などと説明した」とする新聞社の報道についても、訂正を求めるよう学園側に依頼

(評価)

2017年2月9日の朝日新聞報道後、学園側理事長が取材に応じて「1億円ぐらい」と言った撤去費について、財務省側が訂正を求めていた件が明らかになった。先に示した「トラック何千台分」の口裏合わせよりも前に、口裏合わせをしていた。

時系列的には、国会初出の2017年2月15日、宮本岳志議員による質問に佐川理財局長(当時)が学園側の対応を「聞いています」と答弁していたため、それより以前から接触があることは予想されていた。だが、まさかというか、やっぱりというか、NHKニュースにより、以前から口裏合わせをしていたことが、また明らかになった。さらにNHK報道後も、財務省が宮本岳志議員に提出した2017/02/13の応接記録が口裏合わせ部分が削除されていたことが明らかになるなど、改ざんが現在進行中であることをうかがわせる。
(この件についての当時の当ブログ記事は、「「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/04/11)」、2017/02/13の応接記録改ざんについては「「森友問題」で今週分かったことのまとめと考察(2018/05/27~06/03)」)

3.NHKスクープについての現時点の評価

(感想)

スクープを取るにはいろいろな形があると思うがNHKニュースには、地道な取材力を生かしたものである印象だ(個人の感想です)。

上記にまとめたスクープが、今回再就職した記者がすべて関わっているかわからないし、私が把握しているスクープがすべてではないかもしれない。ただ、前回の記事で述べたことだが、この問題を追及してきた人たちが、左遷された記事に対して、一斉にNHKに抗議の意を表したのを見て、この記者の方が、関係者にまんべんなく顔を出し、取材をしている人という印象を持った。

ニュースの内容を見ても、特定の情報源に偏った印象はなく、重要な点を抑えて、聞くべき所に取材している印象だ。

今回改めて、ニュースを振り返ったが、その後の情報公開でニュースの正しさが証明されたところもあれば、未だに隠蔽を続けていて、明らかになっていない面もある。NHKが3/13に報じたメールの件は、未だに物証を財務省は公開していない。また、改ざんパートでは、一番重要な期間である2/17から3/10までの応接録が公開されていない。改ざん行為は、今なお現在進行中である。

今回の記事によれば、この記者の方が、NHKを退職し、別の新聞社に就職したということだが、これからのNHKの取材力も問われるし、新たに再就職しされた記者の記事にも期待したい。

過去の考察のカテゴリーはこちら→「森友問題」考察

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