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《以上広告アナウンスでした。以下本文》
読売新聞のすごさを伝えるために、当ブログでは様々なテーマで記事を書いているが、独立したブログ記事にするほどではなくても、ついつい書き留めたくなる新聞記事に出会うことは、毎日のように新聞を熟読していれば、よくある。
そんな、日々、心に残った読売新聞の印象を、備忘録的に加えていく。
2019年も、上半期で日々の備忘録メモがいっぱいになってしまったので、下半期用にブログ記事を独立させる。2019年の下半期も、読売新聞はやっぱりすごそうだ。
[公開:2019/07/01、更新:2019/12/29]
※特に注釈の無い場合は、読売新聞大阪本社版を読んでの感想です。
・2019/12/25(水)読売オンライン、Webコラム・解説
久々に、読売オンラインにログインして、記事を見ていると、次の記事がふと気になったので、何となくクリック。
記録を後世に…吉田兼見の2冊の日記が語る光秀の「三日天下」
丸山淳一、読売オンライン、Webコラム・解説、「今につながる日本史」、”同上”、2019/12/25 05:00。https://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory/20191223-OYT8T50067/(読者会員限定、参照2019-12-29)
いつもの批判精神に欠けた読売コラムと思いきや、桜を見る会での政府の対応を「お粗末に過ぎる」と率直に批判しており、驚かされた。
冒頭は、「批判されても仕方がない」・「見直すことを決めたのは当然だ」と言った感じのいつもの読売らしい、何かに配慮するような批判だったので期待していなかったが、その後に続いて、「政府の対応がお粗末に過ぎる」・「納得できる説明はない」と、極めてまっとうな批評。
本文のテーマが、本能寺の変を巡る二冊の異なる記述の日記についてで、桜を見る会については導入部に過ぎないが、時宜にかなった内容で、本文のテーマにも合っていて、おもしろく読ませてもらった。
正直言って、読売オンラインのコラムについての印象は、それほど良くなかった。登録当初に、オンライン記事の内容紹介として「web限定記事『デスクの目』」と紙面でも宣伝していたので、読んでみたが、「初回でこれなら今後読む必要はないだろう」[当ブログ記事”今日も読売新聞はやっぱりすごい(2019年上半期)”2019/02/01(金)朝刊感想]程度の個人的な評価だったこともあり、これまでほとんどスルーしていた。
今回のコラムの著者の丸山淳一氏については、正直、読売を熟読してきた私だが、印象に残っていなかった名前だった。略歴を見ると、経済部出身の編集委員ということだ。読売の経済記事と言えば、当ブログでも、「日銀の資金循環統計(速報)記事での意味不明な表」・「財務省連載記事での改ざん問題の無理解」について指摘してきたが、この方は関わっているのか、あるいはどういう認識なのか、興味を持った。
丸山氏は、読売新聞オンラインの「Webコラム・解説」に、これまでもコラムを書かれているようで、これまで読んでなかったので、これから読み直してみたいと期待させるものだった。それと同時に、なぜ、紙面ではなくWeb限定にとどめておくのか、不審に思った。(個人的には、月一土曜日朝刊のコラムの、首相動静に名前がよく載る論説主幹には、お引き取り頂いて、代わりに書いていただいた方がよっぽど読者のためになるだろう、と強く思った。)
紙面ではなく、読売オンラインで、丸山氏の記事を輝かせるかのような読売新聞はやっぱりすごい。
・2019/12/20(金)夕刊、2019/12/21(土)朝刊経済面11面
当ブログではおなじみの、日銀の資金循環統計(速報)についての記事。9月末時点の数字が発表されたが、家計の金融資産が前年度比で減少するなど、パッとしない数字。そのせいか、読売は今回は、とうとう例の表(「全体」・「現金・預金」・「現金」の項目3つのみを2012年末から経年比較する意味不明の図表)を朝刊で載せなかった。ただ、今日の朝刊では、2020年度予算閣議決定の解説のためスペースが少なかった影響で図を載せなかった可能性もあるので、次の12月末の数字の発表では、数字が少し良くなれば、しれっとまた復活するんじゃないかと、今から予想させる、読売新聞はやっぱりすごい。
・~2019/12/17(火)夕刊連載
今年初めに読売新聞大阪本社版夕刊で連載されていた「ハレルヤ!西成 メダデ物語」。その続編である「激動編」の連載が最終回を迎えた。前回は、牧師さんの人生を振り返りながらの話で、牧師さんの「(あふれすぎる)人間味」に圧倒されたが、今回はその牧師さんの人間味はそのままに、信者さんたちの人生にもスポットを当てていた。前回同様、興味深く読ませてもらった。
意義のある良記事だとは思うのだが、一方で引っかかる点が少し。前回では最終回に、記者が知ったきっかけが牧師さんが自分から出した手紙であることが明らかにされ、記者も「第2の○○」は現れまい、と言ってしまっていて、新聞記事としての客観性にどうしても引っかかっていたが、今回もその疑問はぬぐえなかった。
今回の「激動編」(このタイトル自体にも引っかかりがあるが)でも、途中、協会の中心人物であった信者が突然行方をくらますが、その信者を偶然記者が見つけるというのは、見つかってよかったと思うと同時に、記者が取材対象に入り込んでいることが明白になり、記者の存在自体が取材対象に影響を与えすぎている可能性を疑うことになった。
もちろん、この記事にねつ造ややらせが含まれているとは決して思っていない。第一、ねつ造するのであれば、もっと良くできた話にするだろう。ただ、「取材を重ねるうちに、取材される側が何かをやらなければと無意識に思って、何かをしでかしたのでは」という疑念が、これまでの取材経緯からしてもぬぐえないのだ。これは、この記事を貶めるものではなく、「観察によって観察対象が影響されて、真の姿が見えなくなる」というフィールドワークでは避けられない疑念が、読んでいるとどうしても残ってしまうことになった。
繰り返すが、この指摘は、今回の記事を貶めるものではない。また、牧師さんの夢が叶うように、資金が集まればいいのにな、とも祈っている。ただ、大規模に組織化された教団から「はみ出した」経歴や、整った書類上の存在ではない教会に対しては、読売に寄付しても「読売光と愛の事業団」からの支援先には選ばれないのだろうな、などと、漠然と思った。(個人の感想です)。
そこで無責任に思ったのだが、資金は、ネットで集められないものだろうか。今回の記事では、牧師さんや信者さんたちが身をさらすこととなった。この身にさらすという行為は、ユーチューバーの特徴とも重なる。いささか安易な意見だと自分でも思うが、資金集めにはネットに詳しい人が手伝ってあげたらどうだろうか。ユーチューバーの行為を神の前にありのままの姿をさらすという信仰告白と解釈することも可能ではないだろうか。
などなどと、無責任なことを思わず長々と書いてしまったが、そんな読売新聞夕刊連載の「メダデ物語」はやっぱりすごい。
・2019/11/20(水)朝刊文化面21面
先日お亡くなりになった木村汎氏への追悼文を、国際政治学者の袴田茂樹氏が読売新聞へ寄稿されていた。ロシア政治研究の大家として対露政策に警鐘を鳴らしていた木村氏がお亡くなりになられたことの喪失感の大きさがうかがえた。お悔やみ申し上げます。追悼文には、「領土交渉の事実上『二島返還』への後退」、「首相にとって完全にマイナスのレガシー」との記述があり、これまでの読売新聞では見かけない表現だったので、新鮮に思えた。おそらく遠くない将来、安倍外交の対ロ交渉のまずさが忖度なしで論ぜられるようになったとき、読売も手のひらを返して批判するようになるのだろうが、その時は今回の追悼文を掲載したことを理由に、昔から紙面で指摘していましたと言うんじゃないかと想像させる読売新聞はやっぱりすごい。
[追記2019/11/21:昨日、上記で指摘したように、読売が追悼文の寄稿という形で、安倍外交の対露政策の失敗にようやく触れたかと思えば、昨日から始まったの朝刊での連載記事「最長政権の断面」で、今日は、「北方領 『後退』指摘も」の見出し(2019年11月21日朝刊、政治面4面)。これまで、読売の紙面上では、対露政策は後退なんかしていないかのようだったのに、とうとう言及し始めたようだ。まるで、追悼文をつゆ払いにして、ようやく都合の悪い事実を載せるかのような、読売新聞はやっぱりすごい。]
・2019/11/09(土)夕刊2面
土曜の夕刊には、毎週、「とれんど」というコーナータイトルで読売新聞の論説委員のコラムが載っている。あまり目立たない位置だからか、読売新聞論説委員の記名記事なのに、「忖度」なしの意見が載っていたりして、驚かされることも「少なくない」。ところが今日の記事は、いわゆる「読売らしい」ザンネンな内容。
官僚の疲弊招く国会質問
読売新聞、論説委員川嶋三恵子、「とれんど」、”同上”、2019年11月9日夕刊2面。
記事では、ある管理職の官僚が退職して、その理由として「国会対応」云々としている。この国会対応についての話は、先月中旬ごろから政権に近い評論家が「質問通告が遅い」と一斉に同じことを言いだしていて、そこから半月以上たっているので「ああ、周回遅れのいつもの読売ね」という印象しかない。記事では、個人名を出して例示することで、かろうじて、記事としての鮮度を保つ努力をしていることはうかがえる。ただ、よくわからないのは、その例示した個人が管理職であり、国会対応で若い部下が大変だから退職した、という意味不明な内容になっていることだ。部下が大変ならその環境を改善するのが管理職の役目なのに、それを放棄して退職した人の話をまるで美談であるかのように載せる読売新聞のコラムはすごい。普通の会社であれば、責任者としての役割を果たさずに退職し、自社の体質には何も言わずに相手顧客にクレームをつけている元管理職社員だとみられるような話を、実名で載せてしまう読売新聞の政治コラムはすごい。そして、記事の最後は、その人が情報発信を続けるつもりらしく「力を込めた」と締めくくっているので、まるでこの人が質問通告の漏洩に関わっていると疑わせるようかのように匂わせる様な可能性を否定しない記述で終わる読売新聞はやっぱりすごい。
[追記2019/11/10:上記の読売新聞記事で取り上げられていた元官僚氏についてだが、(個人的には)見かけない苗字だったこともあってか、別件で気になるニュースなどをネットサーフィンしている途中にたまたまその名前を見つけ、ブログ記事を書かれているのを発見した。
国会の質問通告と官僚の疲弊
千正康弘、センショーの『元』官僚のお仕事と日常ブログ、”同上”、2019-11-09 19:27:06。https://ameblo.jp/senshoyasuhiro/entry-12543770222.html(参照2019-11-10)
拝読すると、自らの経験を踏まえた意見を述べられていて、極論にくみすることも極端な党派的な主張も見受けられず、読売新聞コラムに書かれた内容からのみ受けた印象とは全く違うものだった。元官僚氏に対して、私が読売新聞のコラムからのみ受けた印象について上記のように揶揄して述べたことは、(実名を出さなかったとはいえ)お詫びして訂正します。
元官僚氏は、ブログでは、
多くの人に分かってほしいのは、通告時間の遅い質問者だけを悪者にしないでほしいということです。
同上。
と明確に述べており、「官僚の労務環境」と「国会議員の質問権」が対立して議論が進まない状況を悲しんでおられる。経験者の意見として納得させられるものだ。
ところが、読売のコラムでは、「質問者だけを悪者」にするかのような記述で、かつ、元官僚氏がそうした意見を言っているかのように見えてしまう内容だった。これでは、元官僚氏もフォローをする必要にかられたのだろう。今回の元官僚氏のブログ記事では読売新聞には一言も言及していないものの、公開された日時からして、読売夕刊にコラムが掲載された後、本意ではないとフォローしたと思わせるタイミングだ。読売新聞のコラムが出た直後に、その記事の人物にフォローをするかのようなブログ記事を書かせてしまう、読売新聞のコラム「とれんど」はやっぱりすごい。]
・2019/10/30(水)朝刊特別面15面
読売新聞が新聞週間に合わせて半年に一回行う「報道と紙面を考える」懇談会。今回も、10月11日に行われた懇談会の内容が特別面で1面にわたって掲載されていた。今回のテーマは、
「高齢化と車社会」
読売新聞、2019年10月30日朝刊、大阪本社版13S特別面15面。
重要なテーマであることは間違いないが、「報道と紙面を考える」テーマとはズレた内容に思えた。(高齢の)外部有識者も、有識者の意見というよりは、高齢者の一般的な運転の感想を述べているだけで、このメンバーである必然性を全く感じさせない。懇談会のテーマに関連しそうな池袋暴走母子死亡事故の容疑者呼称を巡る問題についても、これまでの経緯と社会部長の説明を載せているだけで、有識者のコメントは載っていなかった。まるで、この懇談会は、単なる親睦会のように見えてしまい、そんな内容を一面にわたって載せてしまう読売新聞はやっぱりすごい。
[追記2019/11/03:この懇談会の記事が載る前日の10月29日に、読売新聞は、富山支局の記者が談話をねつ造したことを発表したようだ。このニュースは私もどこかで見た記憶があったので、改めて読売新聞オンラインで確認してみたが、紙面ビューアで10/29付朝刊を見ても載っておらず、それらしいワードで検索してもヒットしなかった。そこで改めて、検索サイトでニュース検索すると、
読売新聞記者が自治体の談話を捏造 おわび記事を掲載
朝日新聞DIGITAL、”同上”、2019年10月29日11時53分。https://www.asahi.com/articles/ASMBY2WF0MBYPUZB002.html(参照2019-11-03)
に詳しく書いてあり、富山版でのみ掲載されていたことが分かった。読売新聞の話なのに、読売のネット記事ではわからずに、朝日新聞のネット記事でようやく内容が分かるようになる、読売新聞はやっぱりすごい。
そして、そのねつ造を富山版だけで発表した翌日に、「紙面と報道を考える」懇談会での老人のありきたりな運転談を一面にわたって載せてしまい、報道としての事の重大性と、語っていることのヌルさ、との落差を見せつけるかのような、読売新聞は、やっぱりすごい。]
・2019/10/14(土)朝刊経済面9面
経済面に、あれっと思うような見出しの記事が。
ポイント還元 順調スタート
読売新聞、2019年10月14日朝刊、大阪本社版13S経済9面。
個人的な実感とは異なる印象を持ったが、内容を読むと
経産省は「順調な滑り出し」としている。
同上。
ということで、単に、経産省が自賛している内容を、(見出しだけでは誰の発言かわからないように)そのまま掲載したようだ。他社はどう報じているのか気になっていたので、「ポイント還元 順調 経産省」でbingでニュース検索して出てきた、見出しをざっと見ると、「1週間で60億円」「日額」といった数字を見出しにし、価値判断をするような表現は避けているようだった[2019/10/14時点での個人的な検索環境によるものです]。「順調だ」とする見出しがあったとしても、「経産省」の発言だとわかるようにかぎ括弧付き見出しで、読売のように見出しで誰の発言かわからないような、「順調」の文字を付けたものは見当たらなかった。こんなミスリードをするような見出しを付けるときは、なぜか決まって「お上」の言う方向に向いているように見えるかのような、読売新聞はやっぱり見出しもすごい。
・2019/09/20(金)夕刊1面
今日は、もはやこのブログでもおなじみとなった(?)、日銀の資金循環統計(速報)の発表日。過去にも取り上げてきた(2019/03/20読売朝刊の経済面の表が分かりにくすぎて、逆に分かりやすくてすごい、今日も読売新聞はやっぱりすごい(2019年上半期)内の2019/06/27、28の記事)が、今回はとうとう一面に。タイトルでは、現金・預金が過去最高であると威勢がいいが、本文を読むと、個人の金融資産の残高は減少しているとのことで、そのせいか、お馴染みの「アベノミクス」のフレーズは無し。また明日の朝刊で、例の、「全体」・「現金・預金」・「現金」の項目3つのみを経年比較する意味不明の表を載せるのかと、期待させる読売新聞はやっぱりすごい。
[2019/09/21追記:予想通り、今日の朝刊の経済面には「現・預金最高 991兆円」(経済面9面、13S)のタイトルで記事内に例の表。個人金融資産の「貯蓄から投資進まず」と言っているが、記事本文内の数字だけ見ればその逆の動き「投資から貯蓄へ」となっているのに、例の表はこの点の考察に全く役に立たないシロモノ。こうなったら速報が発表される四半期ごとにいつまでこの表を使い続けるのかと思わず期待させる読売新聞はやっぱりすごい。]
・2019/09/01(日)朝刊国際面7面
今日の国際面のトップは、中国残留孤児での中国の養母らの証言をサイトに残そうとするハルビンの出版社を紹介していた。中国残留孤児については、孤児の労苦、父母の辛苦、養父母の慈愛、といった言葉では括れない思いがそれぞれにあったと想像できるし、国の無策・いざというときに真っ先に逃げ出す幹部・戦勝国の傲慢などへの怒りが沸き上がる。今回の記事も、いろいろな感情を呼び起こされた。意義のある記事だと思って読んでいたが、途中で、
ホームページには、先の大戦を巡る歴史認識で、日本側が中国へのしょく罪の気持ちを忘れさせないようにする目的もある。
読売新聞、2019年9月1日朝刊、黒竜江省ハルビン 東慶一郎、”子育ての記憶 証言をサイトに”、大阪本社版13S、国際面7面。
という、言わずもがなのことを言ってくるので興ざめになった。こちらは、国と国の関係ではなく、人と人の関係として見ているのに、何を恐れてこんな余計な一文を入れてくるのか。参考に載っていた、「中国養父母記憶館」のホームページ[http://www.chinayfmz.com/、(参照2019-09-01)]を見てみたが、日本語訳はあるものの、メインは中国語で、養父母や関係者へのインタビュー動画も当たり前と言えば当たり前だが中国語で行われていて、日本へのアピールが主目的とはとても思えないサイトの作りだった。確かに、記事が指摘するような目的で、陰で政府機関等から何らかの援助を受けている可能性は否定できないが、この記事でわざわざこの一文を載せたのは、「余計」の一言だ。個人レベルでしょく罪の気持ちを持つのは個人の勝手であるのに、他人のしょく罪と自分のしょく罪が同一であるかのように勘違いしているかのようだ。まるで、こんな一文を載せないと、中国残留孤児についての記事を書けないかのような、読売新聞は、やっぱりすごい。
・2019/08/22(木)朝刊政治面4面
政治面の連載「語る 長期政権」。識者にいろいろと安倍内閣での長期政権のことを語ってもらっているコーナーだが、今日は、西田亮介氏。寡聞にして、詳しく存じ上げない方で、読売新聞で見た記憶がない人だ(個人の記憶による感想です)。どんな人かと思いながら読んでみると、冒頭に、長期政権の成果を列挙して語っていたが、その中で、
データが信頼できるという前提に立つ限り、経済面は評価できる。
読売新聞、2019年8月22日朝刊、「語る 長期政権 東京工業大准教授 西田亮介氏(聞き手 石井千絵)」、大阪本社版13S、政治面4面。
と言っていて、思わずズッコケさせられた。
(イヤイヤ、『データが信頼できるという前提に立つ限り』って、それを前提にしないといけない時点で、評価できるわけないでしょうに・・・)
書いてある経歴を見ると、「専門は、社会学、情報社会論」とあるので、経済については専門的立場から言えなくてそんな前提を付けたようだ。その後の内容は、政治とメディアの関係の通り一遍の説明で、特に目新しい分析も主張もなく、冒頭のインパクトだけが印象に残ったまま、読み終わった。(個人の感想です)
ただ、最後に「(聞き手 石井千絵)」とあったので、改めて「これはインタビュー記事だったんだ」と認識し、この記事のみで西田氏の能力を値踏みするのは失礼だな、と思うと同時に、冒頭の「データが信頼できるという前提」云々の記述は、どのような経緯で入れたのか興味がわいた。
記者が書き起こしているインタビュー記事であれば、この一文は入れなくても記事は成り立つので、省くことは可能だったはずだ。(「前提」だけを省くのは問題があるが、「経済面の評価」を丸ごと省いたとしても、内容的には記事は十分成立する)。それをあえて入れたのは、西田氏に記事内容を確認した際にダメ出しされたのか、それとも聞き手の記者の意思なのか、いろいろと想像をさせられた。
「前提」の一文を入れることで、一見すると平易なインタビュー記事(個人の感想です)を、いろいろと想像させる記事にしてしまう、読売新聞の政治面の連載インタビュー記事は、やっぱりすごい。
・2019/08/13(火)夕刊
今日は新聞朝刊休刊日のため、前日のスポーツの結果等が夕刊に載ることもあって、スポーツ面がいつもより多め。そんな中でも、巨人軍についての夕刊コラムは休まずに掲載。今回は、最近セットアッパーとして連投が続く田口投手について取り上げていた。セットアッパーの役割を果たす重要さと、その一方で先発をあきらめていないという、選手としてもがいている姿を、記事で描いていて、共感を呼ぶものだった。ただ、最後が、
(前略)野球とは違う球も駆使して自らを磨いていく。
読売新聞、後藤静華、”「大事なセットアッパー」と言われても…田口は「先発諦めない」”。2019年8月13日夕刊。
という、思わずうならせる一文。感心というよりもどす黒い何かドロッとしたものを感じてしまった。(個人の感想です)。狙ったのか狙っていないのか、応援しているのかけなしているのかよくわからないコラムを載せる、読売新聞はやっぱりすごい。
・2019/07/27(土)朝刊経済面連載記事
経済面の連載記事「インサイド財務省」の新たな部がスタート。この連載では、財務官僚の実名と入省年度を示すことで、「取材して内幕情報を暴いてます」的ないかにもな雰囲気を出しているが、決裁文書改ざんを見抜けなかった読売新聞の記事なだけに、空回りしている感じがするのは否めない。今回の記事では、「理財局トップが実質的に主導した改ざん」としれっと書いているが、どんな取材をしたらこんなことが書けるのか。財務省の改ざん報告書でさえ、そんなことは書いていない。改ざん報告書によれば、実質的に主導したのは、理財局の(当時の)総務課長・国有財産企画課長・国有財産審理室長の課長クラスで、トップの局長は追認したに過ぎない。[当ブログ記事”「森友問題」「決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について」(2018/06/04)等について(後編)ー改ざん経緯の考察”]。
それでいながら、ここでは実名を出さず「トップ」といったり、「実質的に」という形容詞を入れたりしているのは、何か後ろめたいことでもあるのか。責任を押し付けられた形の元局長からは反論されてもおかしくないが、このような曖昧な書き方であれば許容されるという阿吽の呼吸が、財務省や読売新聞と元局長との間にあるのだろうか。
先日読売は、国有地売却や改ざんについて大阪地検が不起訴にして捜査終結へと記事を出していたが、編集委員が安倍首相と飯を食っていたりするのを見ると、取材しているのか、与えられたエサを喰って記事にしているだけなのか、どっちなのかよくわからないようでよくわかる、そんな読売新聞はすごい。
[2019/08/08追記:財務省の改ざん報告書には、責任の所在として、
(前略)理財局長が方向性を決定づけたものであり、その下で総務課長が関係者に方針を伝達するなど中核的役割を担い、国有財産企画課長及び国有財産審理室長が深く関与していた
財務省、”森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書(平成30年6月4日)(PDF:9269KB)”、p39、PDFページ42.(参照2019-08-08)
と、まとめられている。ところが、その前段となる経緯の説明においては、理財局長は明確な指示を出していないのに、総務課長が改ざんの指示を出したことになっている。その意味では、理財局長に対する評価「方向性を決定づけた」というのは、故意ではないが職務上の責任者としての過失というニュアンスを含ませるもので、読売の言うような「理財局トップが実質的に主導した」という事実は導き出せない。財務省改ざん報告書では「形式的な責任」でごまかしているのに対し、読売では「実質的に」と断言しているため、読売には、ぜひその「実質的」な証拠を見せて欲しいものだ。(できるものなら)]
・2019/07/26(金)朝刊ゴルフ記事
今日の読売は、安倍首相のゴルフ記事が3つ。2面の北朝鮮ミサイル発射に対し安倍首相が記者団へコメントをゴルフ場で語ったという記事、同じ面で「安倍首相の一日」として、ゴルフをしたという記事、4面政治面で「首相夏休み 初のゴルフ」というタイトルで「ゴルフを楽しむ安倍首相(右から2人目)」の写真付き記事。それに対して、スポーツ面のゴルフ記事は、下の小さな段に「女子ゴルフエビアン選手権」の第一ラウンド日本人女子選手の主な結果を羅列するのと、今日の予定で「センチュリー21レディース第一日」と2行で報告されているだけ。重複する内容の安倍首相のゴルフ記事を3つに分けて書いているのに比べれば、格段に小さい扱い。「読売新聞のゴルフ記事に一番登場しているのは、プロゴルファーではなく安倍首相」説を思わず検証したくなる、そんな読売新聞はやっぱりすごい。
[2019/08/08追記:本当のゴルフ界では、8月4日(現地時間)に2019全英女子オープンで渋野日向子プロが優勝し、8月6日の朝刊には一面、編集手帳、スポーツ面、社会面などで取り上げられていた。渋野プロの人間性もあって、こういった話題が紙面を埋め尽くすのは、首相がゴルフしたという記事なんかより、喜ばしい。ただ、今後、首相のトランプゴルフ接待で渋野プロが呼び出されたりして、調子を崩したりしないか、今から心配だ。]
・2019/07/24(水)朝刊政治面4面
今日の政治面コラム「政(まつりごと)なび」のタイトルは、”「死ぬ気」 方便か本物か”。導入部がよかったのに、何が言いたいのか分からない尻すぼみ。先日行われた参院戦候補者の「死ぬ気」という言葉を引きながら、過去、選挙で政府・警察が干渉して本当に死者が出たことがあったことを例示。続いて、当時の様子や(読売ではおなじみの)学者の分析の引用。最後は、候補者のそれぞれの「死ぬ気」の状況を(冗長に)列挙した後、しめは「違いは大きい」。読み終わった感想は、「イヤイヤ、昔の警察の干渉を問題視するなら、先日ヤジで強制排除されて問題になったことに触れないとおかしいだろう」。そういえば、首相へのヤジで警察が強制排除した件について読売では見た記憶がなかったので、読売オンラインで検索したら、弁護士団体が抗議し、道警に申し入れたとの記事のみヒット。見た記憶がなかったので、確認したら、北海道版の地方欄に載っていただけのようだった。「ああ、読売では全国版ではこの件は無かったことにされているのか。この件に触れられないから、しりすぼみに終わったのか」。「死ぬ気」という大げさな言葉を使うことを揶揄するような記述をしながら、自らは中途半端な内容の記事を書いているようだ。ヤジの強制排除の件に触れても「死ぬ」わけでもあるまいに。いや、それとも、触れてしまえば本当に「死ぬ」ことになるのだろうか。そうだとすれば、今も昔も「違いは小さい」と思わせる、読売新聞政治面コラムはやっぱりすごい。
・2019/07/10(水)朝刊文化面13面
今日は水曜月一連載の「磯田道史の古今をちこち」の日。以前も述べたが、読売で数少ない楽しみにしている「熟読すべき記事」だ。(個人の感想です)。
今回のタイトルは「忍者も つらい勤め人」。忍者の件は、これまでも「古今をちこち」で取り上げられてきたが、「重要文書をついに確認した」とのこと。これまでの経緯と、発見した経緯が、短い文章の中で必要な情報を詰め込んで書かれていた。私には甲賀の土地勘がないので不十分にしか理解ができないが、土地勘のある人なら十分に正確さが伝わる書き方なんだろうと推測した。
そして磯田先生がすごいのは、こういった専門的な情報を短い文章に過不足なく載せていながら、一般の読売読者にも読みやすい話につなげてくれていることだ。タイトル通り、「忍者も つらい勤め人」だとして、確認した文書から分かった禄の少なさなどを言及しているが、文中に、出版社から「磯田先生。『武士の家計簿』以来のベストセラーを早くお願いします」などと言われていることもさりげなく述べており、読み終わったときに、タイトル内の「忍者も」の「も」の部分に、思わずニヤリとさせる記事だった。
今回の記事で「読売新聞はすごい」と思ったが、「すごいのは読売じゃなくて磯田先生じゃないのか」と思って否定しようと思ったが、たまには読売新聞を褒めてもいいと思うので、読売新聞は水曜月一でやっぱりすごい。
・2019/07/04(木)朝刊政治面4面
3日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会についてが、1面トップ。1面記事には、「詳報11面、関連記事3・4・32面」とあり、他のページでも紙面の多くを費やしていた。
その中でも読売らしいのは、政治4面での関連記事の最後に、
ただ、森友学園側が新設予定だった小学校に関し、「『安倍晋三小学校』があったという記事が書かれたが訂正されていない」として、批判的な一部報道に苦言を呈するのも忘れなかった。
読売新聞、2019年7月4日朝刊、大阪本社版13S、政治面4面。
という、なんとも歯切れの悪い書き方。
この一文には、
- 「批判的な」が何に対してなのか、誰の主観なのか、わかりにくい
- 「一部報道」と言うことで具体的な指摘を避けている
- 「苦言を呈する」と表現することで、「反論」でも「抗議」でもないことを言外に含ませている
- 「忘れなかった」と、まるでお約束であるかのような表現
とのように、この件について、いろいろな事実関係を調べようとする記者の役目を放棄したかの書き方だ。
この件は、詳報にも載っておらず、政治面の関連記事の最後に載っているだけなので、読売的にも深入りしたくないのに仕方なく政治面で載せたかのようだ。
この件については、確か、2017年にも安倍氏が同じようなことを言っていて、その後、朝日新聞に「財務省決裁文書改ざん」をスクープされて、安倍氏周辺は大恥をかかされたはずだが、懲りてないのだろうか。安倍氏がフェイスブックに「(朝日新聞)哀れですね」と書き込んでいる最中に、朝日新聞は、財務省の改ざんスクープのウラ取りをしていたことを思えば、「アベ、アワレ」としか言いようがなかったが。
そもそも、朝日新聞は、黒塗りで分からないから籠池氏に確認すると「安倍晋三記念小学校」だったと証言したから、そう証言したと記事にしただけだ。その後、「開成小学校」と開示されたときも、その事実と、以前に籠池氏が「安倍晋三記念小学校」と証言した記事を載せたことを、同記事内で言及している。それで報道としては十分で、朝日新聞に何ら問題はない。この件で「朝日はウラ取りをせずに間違ったことを記事にした」と批判する人がいるようだが、黒塗りされているのにどうやってウラを取れるというか。しかも、この黒塗りについては、その後の裁判で、違法とされ、国側も控訴せずに、違法であったことを認めたというのに。(当ブログ記事”「森友問題」これまでの報告書等で言及された対象者とその処罰の整理(2019/04/07時点)”)
さらに、「安倍晋三記念小学校」の名称が存在し、大阪府私学課や財務省がその名称を認識していたことは、他の資料で明らかになっている。(そして、まだ他の資料が隠されている疑いが強いことは、当ブログ記事”「森友問題」「安倍晋三記念小学校」設立趣意書は現存するのか?(2019/03/15時点の考察)”で考察済み)。
そう考えれば、この件はスジや頭も含めていろいろなことが悪すぎるので、新聞記事としては掲載せずに無視しておくのが無難だったのだろうが、政治面の最後に、歯切れの悪い一文を載せたのは、まるで、誰かに「忘れずに書いておきましたよ」とアピールするかのようだ。こんな風に、いろいろなことを気にしながら、無理筋の記事を載せることを「忘れなかった」読売新聞は、やっぱりすごい。
・2019/07/01(月)朝刊社説
7月初っ端の読売社説は、「北方領土問題 揺さぶりに動じず交渉続けよ」。半年ほど前には、「歯舞・色丹が還ってくるから択捉・国後は諦めろ」とでもいうように、政府・読売はPRしていたような気がするが(個人の感想です)、今に至って「一筋縄ではいかない」。「前進を図ろうとしてきたが、かなわなかった」と言っているが、択捉・国後をあきらめたような交渉姿勢を見せてしまい、ロシアに足元を見られたことは、前進どころか後退してしまったことになる。この反省もなく、「揺さぶりに動じず交渉を続けよ」といっても、説得力はない。安倍外交の延長線上に問題解決などありえないだろう。以前、この件では、安倍首相も「他に方法があるのなら教えて欲しい」と逆ギレしていたような気もするが、他に方法が思いつかない時点で、安倍外交が限界である証拠だ。
北方領土問題については、
- ロシアは北方領土に日米安保条約に従ってアメリカ軍が駐留するのを警戒
- トランプ大統領が日米安保改定を示唆
- トランプ大統領にはロシア疑惑がある
- ロシアの「日ソ共同宣言での平和条約後の二島引き渡しには時期は明記していない」という主張
という要素があり、少し頭を使えば、交渉の道筋が見えてくるのだが、トランプtwitterで右往左往する今の政権では、その方法は思いつきもせず、ズルズルと後退するだけだろう。前進どころか後退しているのに、言い訳を社説で述べる読売新聞は今年下半期もやっぱりすごい。
過去の「今日も読売新聞はやっぱりすごい」は、
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2017年)[2017/10/7~2017年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2018年上半期)[2018/01/01~2018/06月末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2018年下半期)[2018/07/01~2018年末]
今日も読売新聞はやっぱりすごい(2019年上半期)[2019/01/01~2019/06月末]
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