「森友問題」の裁判で6月上旬に分かったことのまとめと考察(2019/06上旬)

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《以上広告アナウンスでした。以下本文》

架空小説「仮名手本森友学園」

森友問題では、様々な形で、真実が明らかにされてきた。

新聞報道、ニュース報道、ワイドショー、週刊誌報道、会見中継、国会中継、野党合同ヒアリング中継、報告書公表、SNS(ソーシャルネットサービス)、動画配信、・・・等。

組織・個人を問わず、記事や配信など、様々な形でこの問題についての情報提供に関わってくれる人たちには、感謝したい。

その中でも、裁判では、厳格な手続きの元、証拠や主張が提示される。ただ、残念なことに、裁判の傍聴には手軽に参加できず、動画配信されるわけでもないので、その経過については、間接的にしか知ることができない。

そこで、6月上旬に行われた森友関連裁判について報告をしてくれていて、間接的に内容をうかがい知ることのできる記事等をまとめることで、この期間に分かったことについて、整理することにしたい。

2019/06/03(月)籠池夫妻補助金詐欺裁判第四回公判証言

証人尋問

設計会社の担当者
・公判を前に検事と、1回2時間あまりの”打合せ”を5~6回

籠池諄子夫人の “発言” 法廷の検事に炸裂「あまり人を泣かしたら…」

相澤冬樹、”同上”、6/4(火) 19:02。https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190604-00128815/(参照2019-06-14)

2019/06/05(水)籠池夫妻補助金詐欺裁判第五回公判証言

証人尋問

設計会社の元担当者
・経営者と相談した結果、実施設計を行っていないように装って申請
・経営者は「籠池夫妻には伏せておこう。後ろ向きの話は夫妻にはするな」と言った

籠池夫妻 法廷闘争記
元担当者が新証言 補助金申請規定違反を籠池夫妻に告げず

日刊ゲンダイDIGITAL、相澤冬樹、”同上”、公開日:2019/06/08 06:00
 更新日:2019/06/13 14:43。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255629(参照2019-06-14)

2019/06/10(月)籠池夫妻補助金詐欺裁判第六回公判証言

証人尋問

建設業者の代表
・2017年2月国有地売却問題報道後、籠池夫妻らと複数回、対策を話し合った
・うそのストーリーを作って口裏を合わせた
・「(余った)補助金は後から返すつもりだった」とする筋書き

検察側提示「やり取りの録音記録」
・顧問弁護士「補助金の詐欺みたいな話」籠池被告「ほんまやね」

「籠池被告と弁護士と口裏合わせた」森友事件公判で建設業者が証言 大阪地裁

毎日新聞、高嶋将之、松本紫帆、”同上”、2019年6月10日 21時11分(最終更新 6月10日 21時11分)。https://mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/040/256000c (参照2019-06-14)

建設会社の社長
・見積もりに漏れ。普通なら施主に上乗せをお願いするが、「施主が異常」だから絶対無理と思っていた
・水増しして22億の契約書を作ることをうちの営業担当者から聞いた
・見積書を水増しすることは珍しくないが、契約書まで水増しすることはない
・設計会社の社長から「かなわんねん。よしなに」
・担当者へは「偽物の契約書なんやから、はんこなんかドラえもんのでもいいんちゃうか?適当に押しとけや」
・(直接夫妻に話を聞いていないのではないかという弁護側の追及には)「覚えていない」

籠池夫妻 法廷闘争記
「施主が異常だから」建設会社社長の“不規則”証言に緊張が

日刊ゲンダイDIGITAL、相澤冬樹、”同上”、公開日:2019/06/12 06:00
 更新日:2019/06/12 06:00。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255851(参照2019-06-14)

[上記の証人の肩書の表記については、毎日新聞では「建設会社の代表」、日刊ゲンダイの記事では「建設会社の社長」と表記してあるため、それぞれの表記のまま引用した。]

2019/06/11(火)不開示損害賠償請求裁判・高裁へ控訴

原告側が高裁へ控訴

ごみに関する項目の不開示を違反と認めなかった1審判決を不服として、原告側が高等裁判所に控訴

1審判決についての内容は、当ブログ記事”「森友問題」で今週分かったことのまとめと考察(2019/05/29~31)”の2019/05/30の記事参照。(参照2019-06-14)

森友事件“発端”の裁判 一部勝訴でも原告控訴「こんな判決ありえない」

相澤冬樹、”同上”、6/11(火) 18:32。https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20190611-00129724/(参照2019-06-14)

2019/06/12(水)籠池夫妻補助金詐欺裁判第七回公判証言

証人尋問

建設会社の営業担当者
・架空の契約書を作ることは設計会社が建設会社に依頼し、籠池夫妻はその時、関わっていない
・設計会社側が「我々が勝手にやったというリスクを負わされる」。夫妻に説明しておく必要があるとなり、夫妻と各担当者の会議で設計会社が「テンプラ(架空)」発言
・諄子夫人が「これにならへん?」と言って、手錠をかけられるようなジェスチャー
・森友学園への営業活動に精神的苦痛、待遇や社長との関係への不満もあって退職
・補助金の取り調べが終わった後、国有地値引きの理由とされたごみの問題について、(検察に2017年)10月ごろまで聞かれていた

籠池夫妻 法廷闘争記
「何も言うてへん」「何を!」弁護士と検事が見えを切った

日刊ゲンダイDIGITAL、相澤冬樹、”同上”、公開日:2019/06/14 06:00
 更新日:2019/06/14 06:00。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256011(参照2019-06-14)

[以上の内容は、引用からの整理・まとめのため、一部表現を変えているところがあります。]

(感想)

森友問題関連の裁判は、報道されていないわけではないが、公判の証言等は、よほど重要なものでない限り省略されやすい。

その点、相澤氏による記事は、各証人の証言だけでなく、検察・弁護人・被告・裁判官の発言もフォローしていて、受け取れる情報も多く、非常に有用だ。

今回のまとめも、ほぼ、相澤氏による記事から、参考にさせていただいた。

今後も、相澤氏の記事に期待したい。

ただ、上記で気になったのは、毎日新聞の6/10の記事での「やり取りの録音記録」だ。この件については、相澤氏の記事では見かけなかった。

この「録音記録」については、記事を読む限りでは、具体的な日時は特定されていないものの、文脈からすれば、2017年2月の問題発覚以降のものだろう。

そうなると、森友問題での「録音記録」については、2016年3月から5月にかけての4つの音声データが注目されたが、今回のものは、それとは時系列が異なる。(4つの音声データについての考察は、過去の当ブログ記事”「森友問題」音声データがすべて出てきて分かったこと(2018/02/17)”)

この音声データの押収先(提出元)は、どこだったのかという疑問が出てくるが、記事からはわからない。2017年2月以降にも、関係者の会合の音声データがあるというのは、今まで知らなかった情報だ。

しかし、この点が(相澤氏も含めて)おおっぴらに触れられなかったということは、それほど重要でない可能性が高そうだ。

2016年の4つの音声データは国有地値下げの口裏合わせを証明するものとして、国側の関係者も参加している点もあって、重要度は高い。一方、今回の2017年2月以降の音声データは、報道を受けての顧問弁護士と籠池氏との口裏合わせの様子を明らかにするものであるが、新情報に乏しそうだ。

ただ、2017年2月以降の動きについては、

  • 籠池氏が、顧問弁護士から財務省側の伝言を聞いて雲隠れ
  • 財務省側の応接記録がこの期間抜け落ちている
  • 設計会社が契約書の偽造を証言
  • 学園側が認可申請を断念
  • 顧問弁護士が学園側に一方的に顧問弁護士を辞めると通告

森友学園 施工会社が契約書偽造を認める

日テレNEWS24、”同上”、2017年3月10日13:14。http://www.news24.jp/articles/2017/03/10/07356112.html(参照2019-06-14)

など、いまだ不明な点が多い。

今回の音声が、これらの空白を埋める一助になるものであるのなら、全編公開を強く求めたい。

森友問題は終わっていない。

更なる情報を期待したい。

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