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《以上広告アナウンスでした。以下本文》
「森友問題」が皮肉なのは、政権を守るはずの側が、文書の重要性を理解せずに、
「これが無実の証拠だ」
と公開するが、内容をよく読むと、むしろ関与していた疑いが強くなり、擁護どころか、隠したい政権の足を引っ張ってしまうことである。
今回取り上げるのは、
「(決裁参考メモ)森友学園事案に係る今後の対応方針について(H28.4.4)」
についてだ。
この文書を、「政権が関与していない証拠」だという、トンデモ主張をする人がいるようなので、この文書の真の重要性を指摘するとともに、このような主張をしてしまうことの考察をしてみたい。
1.「森友問題」の皮肉
「森友問題」が皮肉なのは、主張すればするほど、当人の意図とは、逆効果になってしまうことだ。
その理由の一つには、問題が複雑化し、立場を入れ替えた人間もいたりで、ややこしくなって、よくわかっていない人にとっては、逆の印象を与えてしまうことがあるためである。
(例:「3m以内にゴミがない」という主張は、正確に言うと「3m以内にゴミは存在するが建設に支障のある撤去が必要なゴミは存在しない」であるのだが、森友問題の議論を理解していない人にとっては、文字通りにしか受け取らず、誤解を生む原因となりやすい。)
そして、それ以外の「森友問題」の皮肉な例として挙げられるのが、「政権側の関与がない」ことを主張するために積極的に公開したものの、それが、むしろ関与を裏付ける証拠になってしまうことだ。
過去には、
- 慌てて出して名前と連絡先も消し忘れていたいわゆる谷FAXを公開した官邸
- 共産党が入手して追及していた2015/09/04打合せ記録を、「独自に入手」して報道した政権寄り新聞と、会社名や名前等を文字消しせずに全文読める状態で公開した、政権擁護コメンテイター
- 野党も気が付かなかった「本件の特殊性」の文字を、他の決裁文書で見つけてブログで公開した、他党からの寝返り自民党議員
- 聞いてもいないのに、重要な日として「3/11、3/14、3/15、3/16、3/24、3/30、4/5」と唐突に列挙した、「いくら何でも」局長
などがあった。
今回取り上げるのは、
(決裁参考メモ)森友学園事案に係る今後の対応方針につ いて(H28.4.4)
である。(以下、「決裁参考メモ」と省略)。
この文書は、匿名掲示板「5ちゃんねる」のアッキードスレで、おそらく特定の一人が好んでアップしているようで、以前から定期的に見かけ、気にはなっていた。(ウザかった)。
現時点で確認できたのは、
http://fate.5ch.net/test/read.cgi/seijinewsplus/1534825998/770
(参照2018-08-23)
文書を取り上げた当人とみられる書き込みを見ると、「主導したのは籠池氏で政府は関係ない」と主張したいようだが、この文書の時系列と背景を理解すれば、「決裁参考メモ」は本省の関与を裏付けるもので、この文書に注目することは、むしろ逆に、「国主導でストーリーを進めた証拠」をさらしていることになっている。
傍から見れば、無実を叫びながら有罪の証拠をさらけ出しているので、そのまま、匿名掲示板の住人らしく、生暖かく見守るのが、マナーなのかもしれない。実際それまではそうしてきた。
ただ、当人が承知の上で成りすましてやっている可能性、あるいは、当人が孤独な戦いをしていると本気で思いこんでいる可能性や、あるいは、無知な住人が紛れ込んで誤解する可能性を考えたとき、ざわざわするものがあったので、無粋かもしれないが、今回は、わざわざ当該文書の解説をしたい。
2.決裁参考メモの時系列整理
「森友問題」を複雑にしているのは、実際に業務が行われた時系列と、問題発覚・改ざん・公表の時系列の二つを考慮に入れなければならないことだ。
今回も、作成されたときと、公開されたときの時系列を二つに分けて整理する。
決裁参考メモが書かれた時系列を整理すると、
2016年
03/11 籠池氏「新たなゴミを発見」→近畿財務局に連絡
03/14 近畿財務局・大阪航空局現地確認。籠池氏、本省へ連絡
03/15 「本省への陳情」籠池夫妻・田村室長《録音データ》
03/16 「3mより下からごみイメージ」籠池夫妻・工事業者・設計業者・近畿財務局・大阪航空局《録音データ》
03/24 近畿財務局と学園側弁護士の価格交渉
03/30 「3mより下からごみストーリー口裏合わせ」籠池夫妻・顧問弁護士・工事業者・設計業者・近畿財務局・大阪航空局《録音データ》
04/04 (決裁参考メモ)森友学園事案に係る今後の対応方針について(H28.4.4)近畿財務局作成 ←今回pick up!
04/05 「(地中の廃棄物)資料はなく確認できていない」顧問弁護士・工事業者・設計業者・近畿財務局・大阪航空局《応接録》
04/14 大阪航空局→近畿財務局ゴミ撤去費見積もり約8.2億円
04/15 近畿財務局→不動産鑑定士に価格鑑定の見積もり合わせ
05/18 「グーンと下げないかんよ」籠池夫妻・近畿財務局《録音データ》
05/30 不動産鑑定士→近畿財務局「意見価格」1億3400万円。
06/20 売買契約
一方、決裁参考メモが公開された時系列は
2018年
03/02 朝日新聞報道「決裁文書 書き換えか」
03/12 財務省、計14の決裁文書の書き換えを認め、書き換えの内容を報告
03/14 財務省、メモ「公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」が平成27年6月に削除されていることを追加報告
03/19 財務省、「(決裁参考メモ)森友学園事案に係る今後の対応方針について(H28.4.4)」が削除されていたことを追加報告 ←今回pick up!
05/23 財務省、「書き換え前の決裁文書」、「交渉記録【売却まで】」を公開
06/04 財務省、 改ざん調査報告書を発表、「交渉記録【売却後】」を公開
[2018/08/23現在]
基本的な内容は、過去の考察のカテゴリー(「森友問題」考察)より。
3.決裁参考メモの位置づけ
作成された時系列を見ればわかる通り、決裁参考メモは、
03/30 「3mより下からごみストーリー口裏合わせ」
の結果を受けて作られている。
「ごみストーリー口裏合わせ」については、明らかになっていないところも多いが、ある程度のことは考察済みで、ストーリーの考案者が財務省本省であった疑いが強い。(当ブログ記事、「森友問題」値引きストーリー考案者の考察(前半)、(後半))。
決裁参考メモは、値引きストーリーの考案者の考察の際に、取り上げ済みだ。
メモの項目には、「4.本省審理室指示事項」とあり、これが、「特例承認」以外のことで本省と近畿財務局のつながりを示す痕跡を隠しきれなかったことがうかがえたからだ。
(これはのちに、「5/21つるた参事官」メモが公表され、「近畿財務局と理財局のやり取りについては、最高裁まで争う覚悟で非公表とする」と本省理財局が考えていると暴露されたことにより、重要度がより高まった。)
(当ブログ記事、「森友問題」で今日分かったことのまとめと考察(2018/06/18))
そして、4/4に作られた決裁参考メモには、「7.今後の作業スケジュール」の項目があるが、実際、スケジュール通りに進んでいった。
つまり、決裁参考メモは、
- 3/30のごみストーリー口裏合わせ通りに進んだ証拠
- 本省理財局と近畿財務局のやり取りでまだ隠してあることを示す証拠
なのである。
補足しておくと、この文書を「5ちゃんねる」で取り上げる人物は、この文書の記述をもって、「籠池氏が主導」と決めつけて、「グーンと下げないかんよ」の音声データを裏付けとしているが、時系列を見ればそれが誤りなのは明白だ。「グーンと下げないかんよ」発言は、決裁参考メモの1か月半後のものであり、この発言に関係なく、決裁参考メモのスケジュール通りに事は進んでいた。この文書を取り上げることは、3/30の口裏合わせを認めることになることを理解していないのだろう。また、5/18の籠池氏の発言は、取引の予定価格・契約時期のスケジュールに影響がなかったのは結果の通りで、むしろ逆に、4つの音声データのうち、5/18の音声データをピックアップして先行報道した関テレ「報道ランナー」の姿勢に疑義が出てくる。
(当ブログ記事、「森友問題」音声データがすべて出てきて分かったこと(2018/02/17))
一方、公開された時系列を見ていくと、決裁参考メモは、まとめて公開された文書より、1週間遅れて公開されている。
さらに、これらとは改ざん時期が違うものの、その間に、それより二年前に改ざんされた文書も発覚して公表しているが、その
メモ「公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」
は、右上に手書きで
「理財局国有財産審理室より」
と書かれてある。
つまり、公表が遅れた二つの文書に共通するのは、
本省が絡んだ記述があるメモ
という点である。
公表が遅れた理由を探ってみたとき、仮に、財務省がどうしても隠したいものがあったと想定してみれば、それは、
本省のつながりを隠したかった
という結論になるのが妥当であろう。
4.決裁参考メモを貼る意味は
ここまでくれば、決裁参考メモが意味するところが分かるだろう。
そうなると不可解なのは、この文書画像を、政権擁護の立場から匿名掲示板の「5ちゃんねる」に貼り続ける人物の心境である。
その人物が、分かっていてやっているのなら納得できるが、分かったうえでやっているようには見えない。あくまで政権擁護の立場から自分が正しいかのようにふるまっているように見える。
かといって、誰かから指示されてやっているとも思えない。
というのも、アップしている内容が政権にとって不利な内容であるので、いくら無能な政権側のネット対応担当者が、これを支持するとは思えず、実際、見た限りは一人でやっているようだ。
となると、この人物は、ロンリーウルフタイプの、野良ウヨとでも呼べる存在なのかもしれない。
この人物が、この記事を読んで、理解できるとは思えないが、自らのやっている行為を客観的に見て、理解してくれることを祈りたい。
過去の考察のカテゴリーはこちら→「森友問題」考察
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