読売新聞は校閲者の求人もすごい

数週間前から、読売新聞（大阪本社版）の紙面に、読売新聞の校閲者の募集（契約社員）の求人募集がたびたび載っていた。その募集内容に、心惹かれるものがあったので、ぜひ紹介したい。なお、応募締め切りは、

履歴書（写真貼付）と職務経歴書を10月31日（火）必着
http://www.oys.co.jp/corporate/recruit.html#201709_01
（2017-10-21参照）

ですので、興味ある方は、採用情報を熟読の上、締め切り(必着)にご注意を。

[注意：この記事は、2017年10月21日公開で、この追記時点で上記の申込期日は過ぎています。ただし、新たな募集を行っている場合もあるので、詳しくは採用会社の募集ページを確認してください。]

今回の求人は、読売新聞のグループ子会社の大阪読売サービス株式会社が募集していて、業務内容は、読売新聞の校閲ということだ。

読売新聞の校閲と言えば、確か2，3年ほど前から、一連の朝日新聞の吉田調書の誤報等の影響を受けて、紙面に訂正欄を作って、訂正記事を積極的に載せるようになったように記憶している。

読売新聞を「熟読」している私は、訂正記事を見てから、「これは気づかない」というのと、「これは気づくべきでは」と後から思うことはあったが、実際に訂正記事より先に誤りを見つけたことはなかった。

ただ、こういった間違いを探す、悪く言えば「あらさがし」は嫌いではないので、ついつい、「自分がもし校閲者になったら」と妄想して、求人内容を熟読してしまった。

時給や勤務時間、待遇など、いろいろと考えさせられる条件があったが、応募資格を見たとき、これは私には無理だと思い、「校閲者になる」という空想を断念した。

応募資格の一部を抜粋すると、

具体的には、①国語力があり、よく新聞を読む方②夜勤のシフト勤務に対応できる方③誠実な姿勢で仕事に臨み、協調性のある方。

と書かれてあり、その③にある「協調性のある方」の箇所で、「私には無理だ」と断念せざるを得なかった。

私の名誉のために言わせてもらうと、こんなブログを書いている私でも、日常生活をする上で支障のない程度のうわべだけの「協調性」ぐらいは持っている。「協調性のある方」という文字は、求人広告ではごく当たり前で、この文字があったからと言って、私は応募を断念しようとは思わない。

ただ、「校閲」という職業の求人に、「協調性」をわざわざ応募資格に載せることに、違和感を感じた。

記事の間違いをチェックするにあたって、「協調性」という資質は、記事を書く側とのなれ合いを生み、校閲という作業にとってマイナスとなりうる。校閲に求められる資質は、協調性よりも独立性であるからだ。

もちろん、大きな意味での協調性は必要だ。

ただ、論語でいう「和して同ぜず」のとおり、「和」の協調性は必要だが、「同」である協調性は、校閲には無意味である。

この違いを理解しないまま、校閲者の求人広告に、安易に「協調性」の文字を使っているのだとしたら、それだけで、校閲不足であろう。

校閲を、組織における検査・監督の問題として考えればわかりやすい。

検査・監督の役割は非常に重要であるが、問題になるのは、検査・監督される側とする側がなれ合いになって、見逃しやごまかしが起こることだ。

この問題は、社会集団では、古くからの課題で、検査・監督部門を独立したり、第三者に任せたりすることで、される側とする側のなれ合いを防ぎ、検査・監督の機能を発揮できるように工夫をしてきた。

奇しくも、ここのところ、「神戸製鋼の品質偽装」、「日産の無資格検査」などの管理・検査の問題が起こっている。読売新聞も社説で批判しているとおりだ

YOMIURI ONLINE、社説、”日産無資格検査　自浄能力を発揮する正念場だ”、2017年10月21日 06時00分。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20171020-OYT1T50127.html
(2017-10-21参照）

この昨今の情勢下で、校閲に、あえて「協調性」を求める読売新聞の求人広告はすごい。

そして、この時期に、急遽、3名程度の採用予定の求人を出すのは、ひょっとしたら、

（以下、個人的な妄想）

(以上、個人的な妄想）

という背景があったのではないかと、思わず妄想させる、読売新聞の求人広告はやっぱりすごい。

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